藤井王将 名人挑戦争いで単独トップを維持 A級順位戦で佐藤に勝利し5勝1敗 最年少300勝も達成

[ 2022年12月24日 01:03 ]

A級順位戦で佐藤天彦九段と対局する藤井聡太王将(日本将棋連盟提供)
Photo By 提供写真

 藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖を含む5冠=が23日、地元・名古屋将棋対局場で佐藤天彦九段(34)との第81期名人戦A級順位戦6回戦に臨み、110手で勝利した。終局は24日午前0時6分。10人が総当たりで渡辺明名人(38)=棋王との2冠=への挑戦権を争う戦いは、1敗で並ぶ豊島将之九段(32)が前夜、広瀬章人八段(35)に敗れて2敗に後退。暫定で今期初の単独首位に立った藤井が1敗(5勝)を守ったため、4勝2敗で豊島ら5人が追う展開になった。

 「ちょっとその手前の時間を使ったところから、自分の読みがまとまらなくなってしまいました」

 終局後、勝った藤井がうつむきながらつぶやいた。74手目、角を成り込んでさらに金取り。佐藤から合駒された桂を11分の読みを入れて取った。

 勝負を決めにいった形だがその後、佐藤の頑強な受けに決めきれない時間が続く。圧倒的終盤力を誇る藤井にして、30手以上続いた終局までの時間が変調を物語った。

 それでも初参戦のA級で、暫定で前日初めて立った単独トップを維持した。「まだ残り3局ある。(名人初挑戦を)意識するより、残りの対局それぞれに全力を尽くせたらと思います」と前向きに語った。
 同時に20歳5カ月の史上最年少で通算300勝を達成した(未放映のテレビ対局を含む)。将棋界でのプロ入りを示す四段昇段後6年2カ月での達成で、従来の記録だった羽生善治九段(52)の21歳7カ月を1年2カ月、四段昇段後の所要期間も6年4カ月から2カ月縮めた。

 佐藤とは、例年2月に開幕する棋王戦でも5番勝負の挑戦権争いを繰り広げる。挑戦者決定トーナメントでは佐藤が勝利したがその後、双方が勝ち上がり19日の挑戦者決定2番勝負第1局は藤井が勝利した。

 27日には渡辺への挑戦権をかけ、第2局が行われる。中3日での大一番へ向け「本局をしっかり振り返った上で、いい状態で臨めればと思います」。6冠目への意欲を落ち着いた口調で語った。

続きを表示

2022年12月23日のニュース