直木賞作家の今村翔吾さん 感謝の100日「まつり旅」で全国行脚中 書店など巡り「本のチカラ」実感

[ 2022年7月1日 05:00 ]

「まつり旅」のTシャツを着用し取材に応じた今村翔吾さん。訪れた場所には、手に持っているステッカーを貼っている。
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 今年1月に第166回直木賞を「塞王の楯」(集英社)で受賞した時代小説家の今村翔吾さん(38)が、100日かけて全国の書店や児童施設を巡る「今村翔吾のまつり旅 47都道府県まわりきるまで帰りません」を実施中だ。自身のYouTubeやSNSで旅の様子を発信し、奮闘ぶりが人気を集めている。スポニチ本紙にその途中経過を報告した。

 かつての勤務地・滋賀県守山市から5月30日にスタート。すでに九州や四国を制覇し、19府県を訪れた。沖縄・石垣島からテレビ出演のため、弾丸で帰京することも。1日から岡山県入りする。少し日に焼けた顔で「ここ最近ずっとTシャツで、首にタオルを巻いてるんだよね」と満面の笑み。旅の充実ぶりをうかがわせた。

 道中で実感したのは“本のチカラ”だった。「11歳の女の子と、78歳のおばあちゃんが同じ僕の本を読んで“誰が好き?”とかで盛り上がっていた。年齢差は関係なく共通の話題として話ができるなんて、面白い」。本には世代を超えて、人間同士をつなげる可能性が秘められている。そのことを改めて感じたという。

 今回の旅は要望のあった場所ならばどこへでも駆け付けることがモットー。そのため、会う人々からは「この街に初めて来た作家さん」、「身内の介護で大都市のサイン会に参加できなかったから、会えてうれしい」などと激励の言葉を受けた。今村さんは「僕が行くことによって、その人たちの一日が、特別な日になってるみたい。これこそ“まつり”ですよね」と喜んだ。

 直木賞を受賞した際、会見で「今年中に47都道府県の書店にお礼に回りたい」と宣言。交通費、宿泊費、食費は全て自腹で、ギャラももらわない。有言実行の最中で「行く先々で感じる空の色も緑の深さが全然違う。今後の作品に生きますね」と力を込める。

 連日猛暑日を記録する日本列島だが、これからが夏本番。「暑くて弱音を吐くこともあると思うけど、やることは変わらない。ブレずに最後までやり切りたい」と“完走宣言”をした。

 ◇今村 翔吾(いまむら・しょうご)1984年(昭59)6月18日生まれ、京都府出身の38歳。関西大卒。ダンスインストラクターなどを経て、2017年「火喰鳥 羽州ぼろ鳶組」で作家デビュー。TBS「Nスタ」でコメンテーターを務める。大阪府箕面市の廃業危機の書店を引き継ぎ経営。

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