「イケオジ」の先駆けだった柳生博さん 安産の「都市伝説」まで生まれた

[ 2022年4月22日 05:32 ]

柳生博さん死去

テレビ朝日「100万円クイズハンター」で司会を務めた柳生博さん(写真提供・テレビ朝日)
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 身長1メートル75のスラリとした体に柔和でダンディーな語り口。柳生さんはイケてるおじさん「イケオジ」の先駆けだった。

 NHK朝の連続テレビ小説「いちばん星」(1977年)で詩人の野口雨情を演じてブレーク。ドラマや映画で活躍していたが、40代に入ったころから昼の帯ドラマに多く出演し、主婦や夏休みの女学生のハートをつかんだ。いつしか「ナイスミドル」「理想の中年像」としてOLから女子大生、女子中高生からも熱烈なファンレターが届く存在に。

 44歳だった1981年から12年にわたって月~金曜の午前中に司会を担当した「100万円クイズハンター」。ハンマーでボタンを叩いて解答権を得る演出も話題になり、柳生さんの人気から「都市伝説」も生まれた。

 おなかをなでると安産になるとして妊娠中のクイズの出演者が本番中に「柳生さん、おなかなでて」とお願いした。その後「柳生博と握手をすると子宝に恵まれる」という説に“グレードアップ”。収録時には、出演者やその応援団が柳生さんとの握手を求め、数十人が列をつくった。柳生さんも晩年「あれだけ握手した番組は後にも先にもないと思います」と振り返っていた。

 さらに、情報番組などの司会を務めたことや、八ケ岳で自然と暮らす姿に男性ファンも増加した。

 穏やかな口調や肩の力を抜き、自然を満喫するスタイル。誰もが憧れる「イケオジ」が生まれた背景には柳生家の家訓があった。柳生さんは徳川家に仕えたとされる剣豪の「柳生一族」に連なる家系。「偉そうな人は決して偉くはない」「何事も比較をするな」「13歳になったら一人旅をせよ」――。13歳の柳生少年が選んだ旅先がついのすみかとなった八ケ岳だった。柳生家の教えを守り、人々を魅了した人生だった。

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2022年4月22日のニュース