漫画家・村生ミオさん69歳で死去 「胸さわぎの放課後」など80年代ラブコメブームけん引

[ 2022年4月22日 05:30 ]

 1980年代のラブコメ漫画ブームの立役者で、「胸さわぎの放課後」や「結婚ゲーム」などで知られる村生ミオ(むらお・みお、本名村井幹生=むらい・みきお)さんが16日午後7時43分、病気のため都内の病院で死去した。69歳。徳島市出身。死因は遺族の意向で明かしていない。葬儀は近親者で行う。2019年から闘病しながら創作活動を続け、今月28日から新連載のスタートを控えていた。

 村生さんは2019年1月に体調を崩し、週刊実話(日本ジャーナル出版)で連載中だった「ボディートラップ」を休載。男女の性愛の本質をえぐったエロチックミステリーとして好評だったが「一時は仕事を続けるのが難しい状況で、打ち切りも検討されたほどだった」(担当編集者)。だが、20年6月には村井さんの「完結まで行きましょう」との強い思いから、連載を再開。「この手が漫画を描きたいと言っている」と冗談が飛び出すほどの目覚ましい回復ぶりを見せ、翌21年4月の完結にこぎつけた。

 最近では週刊漫画ゴラク(日本文芸社)など、複数の漫画誌や漫画サイトの作品で漫画原作を手掛けていた中での突然の死だった。「すっかり良くなられたと思っていた」と驚く編集者もいた。

 週刊実話では元々、作画も担当する新作漫画「闇に抱かれる女」の連載が今月28日発売号からスタートする予定だった。編集部は「既に23話分の原稿を頂いており、連載は予定通り始めます」としている。最終回まで描かれているかは明かさなかったが「完結に向けて検討中です」とした。

 村生さんは「特命係長 只野仁」などで知られる漫画家柳沢きみお氏(73)のアシスタントを経て、72年に「かっぱラブラブ大作戦」(別冊少年ジャンプ)でデビューした。81年には、週刊少年マガジン(講談社)で連載を開始した「胸さわぎの放課後」と、少年ビッグコミック(小学館)でスタートした「結婚ゲーム」が、ともに大ヒット。「翔んだカップル」(柳沢きみお氏)や「みゆき」(あだち充氏)、「うる星やつら」「めぞん一刻」(高橋留美子氏)などとともに80年代前半のラブコメブームをけん引した。

 「胸さわぎ…」は翌82年に、ひかる一平(57)と野々村敏恵(58)=当時は坂上とし恵=がカップル役を演じて映画化。少年隊の3人の主演でドラマにもなった。

 90年代以降は青年漫画誌に活躍の場を移し、「すえぜん―据膳―」「SとM」「終のすみか」など性描写にも踏み込んだ大人の恋愛をテーマに描いた。幅広い年齢のファンからは惜しむ声が相次いでいる。


 《村生 ミオ》(むらお・みお、本名村井幹生=むらい・みきお)1952年(昭27)4月28日生まれ、徳島市出身。74年に「ふたごバンザイ」で第7回手塚賞佳作受賞。「胸さわぎの放課後」「結婚ゲーム」「微熱MY LOVE」「サークルゲーム」「Xenos」「SとM」など映像化作品多数。性的表現だけでなく、物語作りの巧みさから「ストーリーテラー」として高く評価された。

続きを表示

2022年4月22日のニュース