悲しみの富良野 「北の国から」収録中に通った喫茶店、看板には直筆サイン

[ 2021年4月4日 05:30 ]

田中邦衛さん訃報から一夜

喫茶我夢舎楽の店内に飾られた田中邦衛さんの直筆サイン
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 俳優・田中邦衛さん(享年88)の訃報から一夜明けた3日、黒板五郎役で代表作となったテレビドラマ「北の国から」の舞台、北海道富良野市では「五郎さん」を悼む声が聞かれた。JR富良野駅前の「喫茶我夢舎楽(がむしゃら)」は、収録の長期滞在中に通った店。店主の佐々木幸一さん(78)は「残念だよ。富良野の財産だから」と惜しんだ。

 ドラマの衣装のまま、いつも一人で訪れた田中さん。佐々木さんが好んで流すエリック・クラプトンの楽曲を静かに聞きながら、ブレンドコーヒーをブラックで味わった。来店できない日も撮影スタッフがポットで持ち帰っていたという。「五郎さんが“ここのコーヒーはおいしい”と言ってくれたことと、ロケ中に店の窓によく手を振ってくれたことは忘れない」と佐々木さん。「灯(ひ)は小さくてもいつも暖かい。“北の国から”田中邦衛」とサインしてもらった木の看板を大切に飾っている。

 2年ぶりに来店した麻美さん(45)は地元の高校1年生だった時、一緒に写真を撮ってもらった。店内の壁を埋め尽くす記念写真の中で、木の看板の横にある大きな写真が目立っていた。

 「邦衛さんが大好きだったコーヒーを飲んで、思い出に浸ろうと思った。おいしいけど、寂しい味です」。手には、ロケ見学の際に撮りためた写真のアルバムがあった。「ロケをよく見に行ったので、私を覚えてくれた。学校をさぼって行った時は“駄目だー”と叱って、バス停まで送ってくれた」。高校卒業後に就職先まで励ましに来てくれたこともあった優しい「お父さん」との別れに、涙目になった。

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