社 笑顔なき“歴史的”夏1勝 後藤主将「相手への敬意を忘れずプレーしようと話していました」

[ 2022年8月10日 04:00 ]

第104回全国高校野球選手権大会第4日・1回戦   社10―1県岐阜商 ( 2022年8月9日    甲子園 )

<社・県岐阜商> 県岐阜商を破り校歌を聞く社ナイン (撮影・亀井 直樹)
Photo By スポニチ

 1回戦4試合が行われた。社は、今大会で最多の出場30回を誇る県岐阜商を破り初出場初勝利。県勢初出場校では1937年の滝川中以来85年ぶりとなる2桁10点を挙げた。新型コロナウイルス集団感染で10人のメンバーを入れ替えた県岐阜商は意地の1点をもぎ取った。横浜、聖光学院、二松学舎大付が初戦を突破した。

 うれしくないはずがない。歴史的1勝にも社ナインは誰も喜びをあらわにせず整然と列に並んだ。新型コロナウイルス集団感染の影響で、相手の県岐阜商はメンバー10人が入れ替え。主将で「2番・二塁」の後藤剣士朗は初出場初勝利の味をかみ締めつつ、胸の内を明かした。

 「率直にうれしい気持ち。でも、僕たちが相手の立場なら、苦しい状況。相手への敬意を忘れず、対戦チームがいる喜びを感じてプレーしようと話していました」

 球場入り直前に山本巧監督は「最後まで感謝の気持ちを忘れず、しっかりプレーしよう」と訓示。ナインはその思いを受け止め、初回から全力で攻撃を仕掛けた。兵庫大会決勝でV打を放った「3番・遊撃」の福谷宇楽(うた)が初回1死三塁で右前へ先制の決勝打。2回1死満塁でも2点打を中前へ運んだ。3回までに大量8得点し最終的に2桁10得点の大勝。バス41台で加東市からやって来た3000人を含む、ほぼ満員の白く染まった三塁アルプスも揺れた。

 兵庫県勢の夏初出場校の初戦最多得点は1937年(昭12)に13―5で秋田中を下した滝川中(現滝川)。得点は及ばなかったが、それ以来の2桁得点。県勢初出場公立校の初戦2桁得点は、1924年(大13)に早実を11―5で下した第一神港商以来、実に98年ぶりの快挙だった。

 春に一度だけ出場した04年にはエース左腕の大前佑輔らを擁し4強進出。記録的勝利には再び旋風の予感が漂う。OBの阪神・近本と同じ淡路島の出身で、中学の恩師まで同じという福谷の好きな言葉は「スーパースター」。県岐阜商の思いも背負いながら、社の躍進が再び始まる。(北野 将市)

 ▼楽天・辰己(14年度卒)試合前に大差で勝っていると聞いて、力をもらいました。この勢いで、どんどん勝ち上がっていってほしいですね。

続きを表示

2022年8月10日のニュース