酷暑での屋外試合 何かが起きてからでは遅い プロ野球界もタブー排除し議論を

[ 2022年8月10日 08:30 ]

楽天生命パーク
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 暑い。とにかく暑い。記者は楽天担当なので年間の約半分を仙台市で過ごしているが、東北だって梅雨が明ければ暑い。先週末からのペイペイドーム→京セラドームの“ドーム遠征”は本当に助かる。心なしか選手たちの表情も明るく見える。

 楽天生命パークは屋外球場なので、8月は週末の全試合がナイターで行われる。他の屋外球場もそうだが、暑さが厳しい7月後半や9月前半に週末デーゲーム(16時開始の薄暮も)が組まれている。近年の夏の暑さは、まさに「命に関わる」レベルだ。特に今年は記録的な早さで梅雨が明け(戻り梅雨のような時期もあったが…)、プロ野球選手がいかに体を鍛え上げているとはいえ、酷暑の中でコンディションを維持するのは容易ではない。

 熱戦が繰り広げられている夏の甲子園でも、試合中に足がつるなどする選手が続出している。これは高校生に限ったことではなく、プロも同じ。ある選手は「夏場は筋肉のけいれんとかはよくあります。軽い場合はそのまま何もなかったようにプレーを続けますけど。水分やミネラル補給はまめにやってますが、やっぱりキツいです」と漏らす。デーゲームで守備中にめまいのような症状を経験したことがあると明かす選手もいた。

 試合観戦に訪れる人も気をつけなければいけない。球場には小さな子供や高齢者といった熱中症のリスクが高い人たちも多い。外野スタンドなど日陰がない場所での観戦は熱中症対策が不可欠で、ナイターであっても油断は禁物。試合開始直後はまだ気温が高く、飲酒によって脱水症状を引き起こす場合も。

 先日、北九州市民球場でのソフトバンク―楽天戦(18時開始)では、記者席の目の前の席で観戦中の男性が救急搬送される様子を目の当たりにした。私も3年前、試合前の取材中に熱中症になり、病院に運ばれたことがある。幸いにも軽症だったが、意識を失っていく瞬間の怖さは今でも忘れられない。

 初夏や残暑の厳しい時期の試合スケジュールについて、楽天・石井監督は「そろそろ議論が必要かもしれないですね」と話していた。もちろん、屋外球場にしかない魅力もあるし、気候条件に左右されることも野球の一部だ。高校野球では暑さ対策として2部制を含めた検討が始まった。プロ野球界も2軍戦を含めて、タブーを排除して議論を進めていくべきではないだろうか。何かが起きてからでは遅い。(記者コラム・重光 晋太郎)

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2022年8月10日のニュース