帯広農 貴重な経験も記録には残らなかった昨夏の甲子園 「交流試合は1勝だったので次は2勝」と佐伯主将

[ 2021年7月25日 18:07 ]

全国高校野球選手権北北海道大会 決勝   帯広農業19―2帯広大谷 ( 2021年7月25日    旭川スタルヒン球場 )

<帯広農・帯広大谷>笑顔で記念写真に納まる帯広農(撮影・高橋茂夫)
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 炎天下のグラウンドに、帯広農ナインの笑顔が弾けた。涙はなかった。大量22安打19得点。24日の準決勝(対滝川西)に続く2戦連続の先発全員安打&先発全員得点、さらにこの日は先発全員打点も達成し、北北海道大会の決勝最多得点(15点=70年北見柏陽)を更新した。同地区でしのぎを削るライバルとの「十勝対決」を制し、1982年以来39年ぶり2度目の夏の聖地をつかんだ。

 打順が二回り目に入った3回から4イニング連続得点でたたみかけた。特に6回は打者12人で3本の二塁打を含む6安打で一挙8得点を奪った。「練習してきたつなぐ打撃ができた」。そう話す佐伯柊主将(3年)ら昨夏甲子園交流試合経験者を中心に徹底してきた、バットを水平に出してのライナー性の打球が野手の間を抜いた。

 昨年のセンバツ中止から1年4カ月。前田康晴監督(45)は「昨年夏の(甲子園)交流試合を経験したが、記録には残らない。もちろん試合ができたことには感謝しているが、北北海道でチャンピオンになって(甲子園に)行こうと…」と、苦しかった日々を思い返して声を詰まらせた。センバツ中止に加え、コロナ禍。今夏に懸け、地元帯広から肩甲骨や股関節を柔らかくするトレーニングマシン3台とバッティングマシンを旭川市の宿舎に持ち込んだ。宿舎そばの信用金庫は、素振りのスペースを提供。整骨院を営む前田監督の教え子も駆けつけた。

 普段により近い環境を整え、「これで駄目なら仕方ない」と覚悟を決めて臨んだ今大会。1年生ながら北北海道大会4試合中3試合に先発出場し、この日4打点の干場雄心は「(昨夏の)交流試合に勝ったのはテレビで見ていた。思い切ってやることを心がけた。初球から振ることができた」と達成感を口にした。昨夏の経験者に新戦力も加わった今夏のチーム打率は・425。瓶に入った昨夏の甲子園の土を自室の一番目立つ場所に飾り、1年間自らを鼓舞してきた佐伯主将は「(昨夏から)やっている間は長かったが、今思えばあっという間でした」と笑った。

 21世紀枠で選出された昨春に続き、今度は北北海道制覇でチーム目標の「再甲」(さいこう)を実現。19年のNHK連続テレビ小説「なつぞら」のモデル校が、再び夏の聖地に立つ。昨夏は高崎健康福祉大高崎(群馬)に勝利してもなかった“次”が、今年はある。「交流試合は1勝だったので、次は2勝」と佐伯主将。2021年夏、記憶、そして記録にも残る聖地での戦いが始まる。

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