【内田雅也の追球】「窒息」状況での心構え――ブレーキとなったマルテ、そして阪神へ

[ 2019年7月5日 09:30 ]

セ・リーグ   阪神2―7DeNA ( 2019年7月4日    横浜 )

<D・神>5回2死一、二塁、マルテは空振り三振に倒れる(撮影・大森 寛明)
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 横浜スタジアムのスコアボードはイニングの末尾にR(得点)、H(安打)、E(失策)に加えLOBとある。レフト・オン・ベースの略で、残塁を意味する。残塁数の合計を表示する球場も珍しい。

 5回終了時、阪神のLOBは6だった。毎回走者を出しながら2点止まり。快調でもなかったDeNA先発の大貫晋一を勝利投手にしてしまった。6回以降は救援陣に沈黙し、残塁は0だった。

 雨上がりの蒸し暑い夜、不快指数高まる攻撃だった。2回表1死一、三塁、打者ランディ・メッセンジャーで2人の走者がともにスタートを切り、三塁走者・高山俊が憤死したのは、スクイズだろうか。打者がサインを見落としたのだろう。

 打者陣では1、3、5回表と、いずれも得点圏に走者を置いた打席で凡退したジェフリー・マルテはブレーキとなった。

 アメリカのボックススコアには、横浜のスコアボード同様、LOBの項目がある場合がある。自身の打席で何人の走者を塁上に残したか、という合計数が記録される。

 これでいくと、この日のマルテは4だ。8回表1死一塁は三ゴロ併殺打で、何と4打席とも回の最後の打者になった。

 好機に強い打者を「クラッチ・ヒッター」と言う。反対に好機に弱い打者は「チョーク・ヒッター」だ。チョークとは「詰まる」「窒息させる」といった意味で、文字通り息苦しい状態にさせる打者となる。

 打率2割7分3厘のマルテだが、得点圏で2割5分6厘と下がる=成績は3日現在=。チョークの傾向にある。

 アメリカでは長年「なぜ好機に強い打者と弱い打者が存在するのか?」という研究が行われているが、答えは出ていない。得点圏打率が低かった打者が翌年は高打率を残したり、傾向がつかめない。心理学者マイク・スタドラーは『一球の心理学』(ダイヤモンド社)でデータを並べたうえ、「ナゾ」としている。

 首位打者にもなった元ヤクルト捕手、監督の古田敦也は<チャンスに弱い人の特徴>として<振れない人>、<何でも振る人>をあげる=著書『うまくいかないときの心理術』(PHP新書)=。<勝負強い人>は<状況を冷静に理解し、求められていることを判断していける人>とした。

 そして肝心な姿勢は<結果に対して一喜一憂しない>。最後はマルテだけでなく、チーム全体への警句でもあるだろう。=敬称略=(編集委員)

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