イタリア人の黄金のハグ 100メートルVのヤコブスを待っていた人は?

[ 2021年8月2日 00:07 ]

東京五輪第10日 陸上 男子100メートル決勝 ( 2021年8月1日    国立競技場 )

同じ時間帯に優勝が決まった男子走り高跳びのタンベリ(左)と男子100メートルのヤコブスのイタリア勢(AP)
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 こんな偶然はなかなかないだろう。男子100メートルを9秒80(追い風0・1メートル)で制したラモントマルチェル・ヤコブス(26)が駆け抜けた先に、走り高跳びで金メダルを獲得した、同じイタリア人のジャンマルコ・タンベリ(29)が両手を広げて待っていた。

 2人で抱き合う。黄金の抱擁だ。

 タンベリは100メートル走が始まる直前まで、走り高跳びの決勝を戦っていた。カタールのダルシムとともに、優勝を分け合う形で熱戦に終止符を打った。

 タンベリとダルシムは2メートル37まで一発でクリアしたが、2メートル39を揃って3度失敗。1位が複数人出た場合、決着するまで1回ずつ跳躍する「ジャンプオフ」で優勝を決めるルールがある。しかし、ジャンプオフは「当該競技者がもうこれ以上跳躍しないと決めた場合を含みジャンプオフが実施されない場合、同成績により第1位となる」と定められている。互いに戦う意志はなかった。仲の良さは、試合後にも繰り広げられ、ビデオ通話で共通の知人と話をして盛り上がる場面があった。

 100メートルと走り高跳びのイタリア人金メダリストの抱擁は、高跳びで2人の金メダリストが誕生したことで、“あの瞬間”に実現した可能性が高い。

 タンベリは16年リオデジャネイロ五輪に、故障のために出られなかった。優勝候補の一角だっただけに、落胆は大きかった。この日は「リオの直前に、これ以上競技ができなくなるリスクがあると医者に言われた。長い道のりだった」と感慨にふけった。

 イタリア人として初めて100メートルを制したヤコブスは「私たちにはきずながあるからね。ジャンマルコのストーリーは、イタリア人なら誰もが知っているよ。ケガさえなければ、リオできっと優勝していただろう。僕は彼を信じ、そして、自分自身も信じていたよ」と喜びを爆発させた。

 大会前の自己記録は、山県亮太と同じ9秒95だった。予選で9秒94、準決勝で9秒83、そして決勝で9秒80をマーク。自己新3連発の圧巻のパフォーマンスで、ボルトが去った後の五輪で頂点に立った。 

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