藤井聡太新棋王 6冠達成から一夜「その立場に見合う将棋が指せるようこれから努めていきたい」

[ 2023年3月20日 10:43 ]

<棋王戦・藤井王将一夜明け会見>色紙に6冠を揮ごうし笑顔を見せる藤井王将(撮影・西尾 大助)
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 将棋の第48期棋王戦5番勝負で19日に新棋王となった藤井聡太6冠(20)=王将、竜王、王位、叡王、棋聖=が一夜明けた20日、栃木県日光市での記者会見で心境を明かした。

 ――あらめて今の気持ちは?
 「タイトル数は意識することはないですが、これまでしばらく防衛戦が続く中で今回の棋王戦で挑戦の機会を得ることができて、その中で獲得できたのは非常にうれしい結果だったと感じています」

 ――今シリーズの収穫、課題は?
 「棋王戦は持ち時間が4時間で、ほかのタイトル戦と比べると短い。時間配分を意識して指せればと思っていて、その点はこれまでと比べるとうまくいったところがあります。ただ中盤以降非常に複雑で難解な場面を迎えることが多く、その中でうまく判断できないところもあったので、その点は課題だったと思っています」

 ――今年度の対局を振り返り、来年度の抱負を。
 「今年度は勝率ではこれまでと比べて優れていたわけではないですが、全体を通して勝負強く指せたというか、タイトル戦でも大変なシリーズが多く、その中で粘り強く指して結果につなげられたのは大きな収穫だったと感じています。新年度も4月から名人戦、叡王戦はじめ大きな対局が続くので、それらの対局にしっかりいい状態で臨めればと思うし、その中でしっかりと実力を高めれば取り組んでいければと思っています」

 ――常に最年少記録というプレッシャーがかかっている。どのような心持ち?
 「多くの方から注目いただき、それ自体はありがたいですが、あまりそのことを対局に臨むに当たり意識してしまうと過度なプレッシャーになる。対局に臨むうえでは大きな対局でも普段と変わらない気持ちで指せればそれが一番いいのかなと」

 ――リラックス方法は?
 「タイトル戦では普段行けないようなところに行くことができる。そういったのも楽しみのひとつにはなっています」

 ――栃木のいちごの味は?
 「すいません、ちょっとまだいただいていないんです(苦笑い)。(会見後に)いただけると思うので、楽しみにしたいです」

 ――将棋以外で謳歌してみたいことは?
 「その点についてもこれまでと大きく変わることはないですが、今回もこちらに来るのに東武線に初めて乗ることができて楽しかったので、鉄道に乗る機会をどこかで少しずつ増やしたいとも思っています」

 ――4月の名人戦で再び渡辺名人に挑戦する。叡王戦では菅井竜也八段との対戦がある。
 「名人戦については今回の棋王戦がすべて角換わりになり、その中でお互い王が薄い陣形になる将棋が多く、名人に不安定な王形をうまくまとめられてしまいまた。そのあたり判断力はもっと高めなければ。名人戦は持ち時間が9時間で、公式戦で一番長い。その点も踏まえていい将棋が指せるよう現張りたいです。叡王戦では菅井八段が挑戦者になられました。菅井八段は振り飛車党なので対抗形になるのかなとは思いま。最近は自分の公式戦でそういった将棋は少なかったので新鮮な感じもあるし、それに向けて準備していければと思っています」

 ――名人戦へどういった準備を?
 「棋王戦含め今期の対局を振り返ると長考した場面で適切な判断ができなかったところが結構多くありました。読みだけではなく、複雑な局面であっても俯瞰的にとらえて判断する力がまだ足りていないと感じるところが多かった。名人戦まであと2週間くらいしかない。それをすぐに改善するのは難しいですが、そういった意識を持ってやっていければと思っています」

 ――6冠達成で、気持ちの高ぶりは?
 「棋王を獲得した喜びはありますが、また名人戦をはじめ大きな対局も近くにある。まずは棋王戦を振り返ってまた名人戦に気持ちを向けて取り組んで行けたらと思っています」

 ――地元の愛知県瀬戸市にメッセージを。
 「地元の方にはいつも応援いただき、励みになっています。今回ひとついい報告ができたと思ってますし、自分のことをきっかけに将棋に関心を持ってくださる方が少しでも増えれば本当にうれしい」

 ――記念撮影の揮毫(きごう)に「六冠」としたたためた時の気持ちは?
 「タイトル数そのものは意識しないが、六冠と揮毫させていただき、結果をだすことができたうれしさをあらためて実感することがあった。(撮影中は)少し照れくさいところもありましたが、6冠は光栄なこと。その立場に見合う将棋が指せるようこれから努めていきたいです」

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