藤井聡太 6冠達成!棋王位獲得で29年ぶり史上最年少記録更新「判断の難しい将棋でした」

[ 2023年3月20日 05:10 ]

史上最年少6冠を達成し笑顔を見せる藤井王将(撮影・西尾 大助)
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 将棋の第48期棋王戦5番勝負は19日、栃木県日光市の日光きぬ川スパホテル三日月で第4局を行い、後手の藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠=が渡辺明棋王(38)=名人との2冠=を下し、シリーズ成績を3勝1敗として初の棋王位を獲得した。同時に1994年の羽生善治竜王以来2人目の6冠となり、羽生の24歳2カ月を大きく更新する史上最年少記録も樹立した。

 終盤は互いにマスクをかなぐり捨てていた。新鮮な酸素を脳内に注入して先の先を読み合う。形勢不明の局面が果てしなく続くクライマックス。最後は藤井が自王の堅さと駒得を生かし、一瞬のチャンスで得たリードを奪ったまま逃げ切った。

 「(終盤は)ずっとどうなっているか分からないままやっていた。駒割り、陣形が非対称で、判断の難しい将棋でした」。粘りに粘る渡辺のさらに上をいく粘りを見せての粘着勝利。和服の内側では大量の冷や汗が流れていただろう。

 4局連続となった角換わり腰掛け銀。あまりに定番となった陣形だけに、変化の数は星の数ほどある。中盤の要となった場面では「指したい手ではなかったが、ほかの指し方でも難しいと思った。その後で角を取られ、攻め合いにいくタイミングがちょっと分からなくなった」と心細さを明かす。しかし、ここで大きな味方となったのが、昨年来から大幅な向上を見せるタイムマネジメントだった。

 棋王戦は持ち時間各4時間。70手目までは持ち時間で41分のビハインドを負った藤井だったが、72手目に自王を早逃げさせて渡辺に1時間1分の長考を強いる。持ち時間の逆転に成功し、以降はそのリードを巧妙に保った。105手目、渡辺が1分将棋に突入した時点で藤井の残り時間は20分。難解過ぎる最終盤でこの大差は大きい存在だった。

 大熱戦の末につかんだ1勝は、棋王初挑戦にして初奪取。加えて史上最年少6冠にも到達した。「なんとか良い結果を出すことができて良かった。(6冠は)まだまだ実力的に足りないところが多いので、その立場にふさわしい将棋を指せるようにしたい」と、ぶれることなく謙虚な言葉を紡ぎ出す。

 タイトル戦は13回の出場で負けなしの13連勝となり、通算13期は佐藤康光九段と並ぶ歴代7位に浮上した。

 今年度の公式戦はこれで終了し、次戦は初挑戦となるこれも渡辺との名人戦。「4月からも重要な対局が続くので、その中で少しでも強くなれるよう頑張りたい」と静かに決意表明だ。目指すは史上最年少7冠、そしてその先には前人未到の全8冠制覇が見えつつある。(我満 晴朗)

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