渡辺 棋王位失い4年ぶり1冠へ後退 19年ぶり無冠へ危機感

[ 2023年3月20日 05:08 ]

第48期棋王戦第4局 ( 2023年3月19日    栃木県日光市・日光きぬ川スパホテル三日月 )

藤井王将(右)に敗れた渡辺棋王
Photo By 代表撮影=共同

 渡辺明棋王は藤井聡太王将に132手で敗れ、1勝3敗で昨年度10連覇した棋王位を失い、名人1冠になった。終局後「もう少し、息長く指す手があったのかもしれない。駒損を解消できなかった」と敗因を語った。

 藤井王の頭上へ戦力を集中させるべく左右の桂を起動。五段目へ跳躍させるため角を手放し、入手した香を5筋に据えた。その選択が、終盤の戦力不足を招いたと反省した。
 棋王のみから王将を奪って2冠になった19年2月以来、4年ぶりに1冠へ後退。4月開幕の名人戦では再び藤井を挑戦者に迎える。「棋王戦を振り返りつつ、向かっていければ」と、中16日で迎える再戦へと切り替えに努めた。

 名人戦では無冠転落への危機感を背負う。来月39歳になる渡辺が30代を前に語った目標が「タイトルは常に持っていたい。(04年に)竜王になってから幸い一度も無冠になってないので」だった。

 20歳だった04年12月に竜王を獲得以降、初タイトルから無冠になった期間がないまま歴代最長の19年目に突入。棋士はタイトルホルダーであれば段位ではなく、「王将」「名人」など保持するタイトルで呼ばれる。渡辺は竜王を六段で獲得して以降「七段」も「八段」も「九段」も名乗ったことがない。

 同一タイトルの2桁連覇は、王座を19連覇した羽生善治、名人を13連覇した大山康晴15世名人に次ぐ3人目。愛着あるタイトルを今回手放したが「長い年月出場させてもらった。思い出はありますが、また出場できるように」と前を向いた。屈辱を栄光に変える戦いが、また始まる。

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2023年3月20日のニュース