藤井王将 年内8冠への道 難関は「王座戦挑戦者決定T」

[ 2023年3月20日 05:09 ]

第48期棋王戦第4局 ( 2023年3月19日    栃木県日光市・日光きぬ川スパホテル三日月 )

藤井聡太王将の年内8冠への道
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 藤井聡太王将が全8冠独占まで残すタイトルは名人、王座2つになった。

 名人戦はすでに挑戦権を得ている。8日、A級順位戦プレーオフを制し、初出場を決めた。第1局は4月5日開幕で、渡辺明名人と7番勝負を争う。王座戦は5番勝負が例年9月開幕。こちらは現在、永瀬拓矢王座(30)への挑戦権を16人で争う挑戦者決定トーナメントに出場する10人を決める2次予選が進行中。タイトルホルダーの藤井は、トーナメントからの出場となる。

 難関と言えるのがこのトーナメントだ。挑戦権獲得には4連勝する以外にない。7番勝負なら3敗、5番勝負なら2敗まで許されるが、トーナメントには負けが許されない怖さがつきまとう。昨年度は1回戦で敗退している。

 全8冠独占は最短で今秋となるが、その間に消化しなければいけない防衛戦も息は抜けない。名人戦と並行して4月11日、叡王戦が開幕する。挑戦者は菅井竜也八段(30)に決定。対戦成績5勝3敗で、藤井にとってタイトル戦初の振り飛車党だ。

 例年6月から始まる棋聖戦はベスト8が出そろいつつある。王位戦も6人ずつが総当たりする紅、白組2組の挑戦者決定リーグが2回戦に突入。7番勝負は例年6月末から7月にかけて始まる。

 最短コースを探っても、王座戦挑戦権を得るまでに、名人4勝、叡王3勝、棋聖3勝、王位4勝のタイトル戦14勝に、王座戦トーナメントの4勝と、合わせて18勝が必要。このトーナメントは例年4月末から7月にあり、その期間が、名人戦以降の4タイトル戦と重なる。
 さらに永瀬へ挑む5番勝負での3勝。全8冠独占には21勝が求められる。王将、棋王のダブルタイトル戦になった冬を越えても厳しい戦いは続く。

 羽生善治九段(52)は95年度、当時の全7冠を25歳で独占した。前年度に史上初の6冠になり、最後の1冠を懸けて王将戦で谷川浩司17世名人(60)に挑んだが、3勝3敗の第7局で敗れた。7冠実現には1年2カ月かかった。

 ▼佐藤康光・日本将棋連盟会長 このたびは棋王位獲得並びに史上最年少での6冠達成、誠におめでとうございます。毎年度8割を超える勝率で実績を積み重ねられる素晴らしい活躍ですが今年度の強敵を連破し続けての結果は20歳という若さと思えない凄みを感じます。

 ▼藤井の師匠・杉本昌隆八段 棋王獲得おめでとうございます。最年少での6冠達成を喜ばしく思います。過密なスケジュールの中、着実に勝ちを積み重ねる姿勢には驚くばかりです。棋王戦はその昔、大師匠の板谷進九段が当時の名人含めた歴代の「3人の名人(大山康晴15世名人、中原誠16世名人、谷川浩司17世名人)」に勝ち、挑戦者決定戦で敗れた心残りのある棋戦です。今回の孫弟子の快挙を喜んでおられることでしょう。

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