過去には軍人国葬で国威高揚も…国葬実施に専門家「大日本帝国の遺物。よみがえらせてはいけない」

[ 2022年9月10日 18:51 ]

東京・赤坂のTBS社屋
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 国葬に詳しい中大の宮間純一教授(日本史学)が、10日放送のTBS系「報道特集」(土曜後5・30)にVTR出演し、安倍晋三元首相の国葬を過去の例と照らし合わせてコメントした。

 戦前にあった国葬令は終戦後の47年に失効しているが、海軍大将だった東郷平八郎、山本五十六ら軍人が国葬され、国威高揚に使われた例もある。宮間教授は「天皇国家に尽くした功労のある人を、天皇と国民が共同して悼もう、この人がいかに偉大な人物であったかということを褒めたたえようという場として機能していた、というのが国葬だと思います」と、国葬の歴史的背景を説明。「国葬というのは大日本帝国の遺物というふうに理解していて、よみがえらせていいものではないと考えています」とも話した。

 安倍元首相の国葬実施の根拠について、岸田文雄首相は「我が国の民主主義を守っていく」と説明している。これに対し、宮間教授は「国葬で評価される人物に対する反対意見、批判意見を抑圧するような機能を備えていたという意味で、民主主義的なものとは言えない」とし、異議を唱えた。

 今回は賛否が真っ二つに割れる中での国葬実施は避けられず、岸田首相は「国民に弔意を強制するものではない」と明言している。これに宮間教授は「国葬というのは国民が望んで行うということですから、国民が弔意を持っていないとできないんですね」と指摘。「何も民間に求めないというのなら、国葬じゃないだろうと。国民が弔意を示して初めて、国葬というのは成立するので、“そんなこと何もしなくていいよ。無関係でいていいんですよ”という中で行われるのは国葬ではない」と疑問を呈した。

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2022年9月10日のニュース