藤井竜王　馬活用した見事な縦横さばき、非凡な構想だった△4九馬

第71期ALSOK杯王将戦第4局第2日 （ 2022年2月12日    東京都立川市・SORANO　HOTEL ）

王将戦第4局第2日・A図
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　【関口武史・明暗この一手】封じ手は△7六歩で再び7筋が争点となった。先手も3五歩の位を足掛かりにと金をつくり対抗する。本局2度目の▲8八銀に△4四銀が柔らかい一手で渡辺が長考に沈んだ。展開によっては△3五銀の切り返しを狙いつつ本譜の▲2二とには△4三金左と金の逃げ道をつくったのが大きい。右辺の制空権を握ったが追撃の態勢を築けないのが渡辺の誤算だったか。▲7五歩から左辺の開拓を目指し午前の戦いが終わった。

　午後に入ると藤井は△6六角と出てあっさりと7筋を放棄する方針転換を見せる。馬をつくり△4九馬（A図）とすり寄ったのが非凡な構想だった。

　5筋、6筋に歩がぶつかり戦いの軸が「縦」だったが馬の活用で「横軸」を戦いに加えたのが大きいのだ。場合によっては△3四金から桂馬を食いちぎり△6六桂が厳しい狙いになっている。

　渡辺は▲3二とと活用したいのだが馬のプレッシャーが強く、間に合わなくなってしまった。先手は▲2九飛と馬に働きかけるが△5八馬と急所の金をはがし、渡辺王を弱体化させ△3六歩が着実ながら厳しい一手。馬をつくり粘る渡辺だったが△5四桂で縦から馬を抑え最後は△4七とと横から追い込み、縦横織り交ぜた攻めで制勝し新王将誕生となった。（スポニチ本紙観戦記者）