「鎌倉殿の13人」宗時“早期退場”番組CP「苦しかった」歴史動かす“推進力”愛之助“陽のパワー”全開

[ 2022年2月13日 08:00 ]

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第5話。義時(小栗旬)に「案ずるな。俺は戦うために生まれてきた男」と語る宗時(片岡愛之助・左)(C)NHK
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 歌舞伎俳優の片岡愛之助(49)がNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)で初回から好演してきた主人公・北条義時(小栗旬)の兄・宗時が5話目(2月6日)にして早々と“退場”。SNS上には驚きと惜別の声が広がった。制作統括の清水拓哉チーフ・プロデューサー(CP)に愛之助の魅力を聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 ヒットメーカーの三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 第5話は「兄との約束」。闇夜にまぎれ、堤館と山木館を立て続けに襲撃した源頼朝(大泉洋)の一党。見事に首級を挙げて勝利した頼朝は、北条義時(小栗)の知恵も借り、坂東における政の第一歩として土地の分配を始める。だが、これを知った平家方が激怒。相模一の大物・大庭景親(國村隼)が梶原景時(中村獅童)ら三千の兵を率いて出陣。頼朝討伐に燃える伊豆の実力者・伊東祐親(浅野和之)も動く。これに対する頼朝は全軍を率いて鎌倉を目指すが…という展開。

 石橋山の戦いに敗れた頼朝は、山中の洞窟に身を潜めた。そして、宗時(愛之助)が頼朝の観音像を取りに北条館へ戻ることに。挙兵に加わった恰幅の良い伊豆在郷武士・工藤茂光(もちみつ、米本学仁)も「鎧が体に合わん」と宗時に同行した。北条館まで、あと少しの川辺。宗時が川の水を水筒に入れ、振り返ると、茂光が突っ伏している。茂光に駆け寄ると、背後に人の影。刀を抜こうとした矢先、祐親の下人・善児(梶原善)の小刀に襲われた。「頼朝の挙兵を誰よりも望み、北条をここまで引っ張ってきた宗時が死んだ」(語り・長澤まさみ)――。

 宗時は「物語序盤の強力なエンジン」(清水CP)。田舎の平凡な武家の次男坊だった義時は歴史の渦に巻き込まれていくが「頼朝がいただけだと、そうはならないわけですよね。義時と頼朝を接着させる推進力が必要で、それが宗時。頼朝一人では決して歴史は動かなかった、この人がいたから歴史が動いた。僕にとっては“正統派ヒーロー”の愛之助さんに、その役割をお願いしました」と起用理由を説明。

 愛之助は「真田丸」で豊臣家の重臣・大谷吉継役を好演。朝廷から与えられた刑部(ぎょうぶ)少輔の官位から“大谷刑部”の通称で知られ、物語きっての“人格者”として描かれた。

 「宗時が天下を獲っていたかもしれないと思わせる一方で、詰めが甘かったりするチャーミングさもあり、大谷刑部とは異なるキャラクター。今回は、愛之助さんご自身が持つ“陽のパワー”を全面に出していただきました。宗時と愛之助さんが早々に退場してしまうのは、作る側としても苦しかったですが、それだけドラマチックに描けたと思います」

 これが今生の別れになるとは知る由もなかった兄弟。宗時は北条館に戻る前、義時に本音を打ち明けた。

 「俺はな、実は平家とか源氏とか、そんなこと、どうでもいいんだ。俺はこの坂東を、俺たちだけのものにしたいんだ。西から来た奴らの顔色をうかがって暮らすのは、もうまっぴらだ。坂東武者の世をつくる。そして、そのてっぺんに北条が立つ。そのためには、源氏の力がいるんだ。頼朝の力が、どうしてもな。だから、それまでは辛抱しようぜ。じゃあ、行ってくる!」

 兄の“遺言”は弟に何をもたらすのか。

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