トミージョン手術から1年の阪神・高橋「治ってから言います」感謝伝える復活マウンド見据え地道にリハビリ

[ 2023年4月19日 08:00 ]

阪神・高橋

 把握してなかったことを恥ずべきだが、この日に取材できた偶然に感謝したい。鳴尾浜球場で久々に会った阪神の高橋が、雑談の途中でぽつりと言った。「ちなみに…今日で手術から1年です」。昨年4月18日に左肘内側側副靱帯(じんたい)再建術(通称トミー・ジョン手術)を受けた。「1年…早いですね。いや…早かったです」。振り返るにはあまりにもいろいろなことがあったと察する。

 一般的に復帰には1年以上を要し、個人によっても差が出る。最近でも20年11月の同日に同手術を受けたのが同僚の才木と島本。復帰へのスタートラインは同じでも、才木がハイペースでリハビリをクリアし22年2月に実戦復帰したのに対し島本は停滞が続きマウンドに上がったのは同年5月だった。実際、高橋も春季キャンプでは捕手を座らせてのブルペン入りまで進捗したものの、現在は約3週間ほどノースローを続けているという。

 「葛藤もありながら、今は結構前向きですね。投げられてない中でもいろんなこと考えて」。数え切れないほどの感情の起伏を経ての1年だったのだろう。ここでももう一度「いろんなことを考えたというか、考えさせられました。早かったっすね。早かった」とつぶやいた。

 今は具体的な復帰時期の目標はあえて立てていない。「いつまでとか決めると僕はだいたい無理なんで。投げられるようになったら目標を決めます!」。本人の言葉に嘘はなくその目に力は宿り、前を向いていた。モチベーションにしている存在もいる。「島本さんとか才木とか二保さんとか、トミージョンした人が活躍してるじゃないですか。DeNAの平良とか、同級生で活力になる」。中学時代の全国大会で投げ合ったという平良は17日の阪神戦で6回無失点で今季2勝目を挙げた。「(活躍を見てると)治るものだと思ってできるので」。

 長いリハビリ期間ではSNSなどを通じて多くのファンから激励の言葉が今も届いている。「SNSとかたまに…でも、治ってから言います!」。感謝を伝える時はもう少し先になりそうだが、その目ははっきり復活のマウンドを見据えている。(記者コラム・遠藤 礼)

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2023年4月19日のニュース