【スポニチスカウト部(27)】京都国際・森下瑠大 聖地から球界No・1左腕へ

[ 2022年8月23日 06:10 ]

プロ志望届提出を明言し、上の舞台での活躍を目指す京都国際・森下
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 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第27回は京都国際の左腕・森下瑠大投手(17)。最速143キロの切れのある直球が武器。今夏の甲子園では初戦敗退となったが、プロ志望を明言し、次なるステージでの飛躍が注目される。

 最後の夏を終えて、森下ははっきりと言った。6日の甲子園での一関学院(岩手)との1回戦で敗戦。進路について問われ「上の世界でやりたい。プロ一本でいこうと思います」とプロ志望届を提出する意向を明らかにし、こう続けた。

 「京都国際にはプロに行くために入らせてもらった。甲子園も3回、踏ませてもらった。その経験を生かして侍ジャパンで投げることを目標にしているのでそこまで行きたい」

 2年春夏と、今夏の計3度、甲子園に出場した。2年夏は前橋育英(群馬)との初戦で4安打完封勝利を挙げるなど活躍。スカウトの注目を集めた今大会だったが、5月に左肘を痛めて投球練習再開が7月半ばで「60~70%」と本調子ではない状態で臨んだ。

 チームはコロナ禍で今春選抜を出場辞退。「選抜を辞退してから思い通りにいかなくて、苦しい時期が長かった」という試練を経験し、悲劇を乗り越えて再び聖地で試合ができたことに意味があった。試合後は爽やかな笑顔で「ヒット1本で大きな歓声が湧く。この3年間は思うようにいかない時期がたくさんあって、つらい時期もあったが、こうやって野球をやらせてもらえて本当によかった」と聖地で終えた高校野球生活を感謝。プロ入りという次なる目標へと気持ちを切り替える、区切りをつけた。

 打っても高校通算21本塁打をマークした強打者。物心ついた頃に、母・愛子さん(44)が上げるボールで行うトス打撃が楽しすぎて、保育園を1カ月も欠席するという伝説も残したほど、根っからの野球好きだ。小牧憲継監督は「次のステージでも、失敗を糧に成長できる子。彼の目標は、プロの世界で一流になること」と、教え子が大きく羽ばたく姿を信じている。(田中 健人)

 《近江・山田との約束、プロの舞台で実現へ》プロ注目投手同士の交流もある。今春選抜では京都国際の代替校として近江(滋賀)が出場し、準優勝。エースの山田陽翔(3年)とは高校入学からSNSを通じて互いを認識するようになった。大会前には電話で話し、投げ合いを約束していた2人。森下は今夏の甲子園での初戦敗退後「僕はいいピッチングができずに負けてしまった。日本一を獲ることができないので“後は任せる”と伝えたい」とエールを送っていた。山田も下関国際(山口)との準決勝で敗れたが、ともに目標はプロ。今夏に実現しなかった約束がどこで果たされるか注目だ。

 ☆球歴 昭和小1年時に昭和ガッツで野球を始める。南陵中では福知山ボーイズでプレーし、全国大会にも出場。京都国際では1年秋からエースを務め、2年時に春夏連続で甲子園に出場して同年の夏は4強入り。

 ☆球種 スライダー、カーブ、チェンジアップ、カットボール。

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