拓大時代と変わらぬ「固め打ち」 ソフトバンク・野村勇の活躍がうれしい

[ 2022年8月23日 07:30 ]

21日の日本ハム戦の8回、10号ソロを放つソフトバンク・野村勇(撮影・岡田 丈靖)         
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 同じ寮で生活し、同じグラウンドで野球をしていたことが信じられないくらいの活躍だ。ソフトバンク・野村勇が21日の日本ハム戦で2本の本塁打を放ち、球団新人最多タイとなる10号に到達。39年の鶴岡一人以来、83年ぶりと歴史に名を刻んだ。

 拓大で1学年上だった記者は驚きを隠せない。ここまでやれるとは。当時から肩の強さ、足の速さ、飛ばす力など身体能力は高かった。1メートル75とプロ野球選手としては小柄だが、パンチ力は凄い。大学では、普通のバットよりも飛ばない合竹バットで平気で柵越えを打っていた。ただ、粗削り。レベルの高い東都で好投手を簡単に打ったかと思えば、あっという間に三振することもあった。何試合も見てきたデータ班からすると、本当に未知数だった。

 “フロアパーティー”をやっていた頃が懐かしい。1人部屋だった野球部寮は各階ごとにフロア分けされ、朝の掃除や点呼、ミーティングなどもその班で行っていた。記者が4年生の時に野村勇と同フロア。パーティー好きだった同期がいたこともあり、12人がいた「東3」フロアでは月に1回のペースで鍋やピザ、たこ焼きなどをみんなで食べていた。そこには勇の2歳下の弟・工も在籍。やりとりやお互いの部屋を行き来する姿をよく目にし、「仲が良い兄弟だな」と思ったことを覚えている。

 「プロの球エグい。どうやったら打てるか分からないです」と苦笑いしていたキャンプがうそのよう。「若くないし、1年目から結果を残さないと」との言葉を有言実行している。今やチームに欠かせない存在。粗削りさも残っているが、1本打つと止まらない固め打ちは健在だ。

 22日付のスポニチ本紙では、東京版でも大きく掲載。自分のことのようにうれしかった。ここからどこまで成績を伸ばしてくれるのか。楽しみだ。(記者コラム・小野寺 大)

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2022年8月23日のニュース