最速144キロ 大阪桐蔭ドラ1候補・藤原“ギータ級”レーザービーム

[ 2018年8月21日 06:00 ]

第100回全国高校野球選手権大会準決勝   大阪桐蔭5―2済美 ( 2018年8月20日    甲子園 )

2回2死一、二塁、政吉の中前打をさばいた藤原は、本塁へ好返球を送り二塁走者の生還を阻む(撮影・大森 寛明)
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 準決勝があり、史上初2度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭(北大阪)と東北勢として春夏通じて初優勝を目指す金足農(秋田)がそれぞれ勝ち上がった。大阪桐蔭は今秋ドラフト1位候補の藤原恭大外野手(3年)が2回の守備で強肩を披露、チームの窮地を救った。きょう2時プレーボールの決勝戦で、金足農の150キロ右腕・吉田輝星投手(3年)撃ちを誓った。先発マウンドが有力視される根尾昂内野手(3年)は昨春、今春に続いて3度目の胴上げ投手を目指す。

 その鬼肩で4万4000観衆の度肝を抜いた。2回に1点を先制され、なお続く2死一、二塁の場面。ビッグプレーで窮地を救ったのは藤原だった。中堅に抜けた政吉の打球に素早くチャージすると、本塁へ矢のようなダイレクト返球。送球はやや三塁側へそれたが、二塁走者の生還を間一髪で阻止した。エース柿木も右拳を突き上げながら殊勲の背番号8を出迎えた。

 「打球が飛んできた瞬間“ラッキー”って思いました。走者が三塁を回る前から本塁へ投げるつもりでした。守備からいいリズムをつくれました」

 バットでは初回の左前打1本のみ。「4番の仕事ができなかった」と猛省したが、好守で相手に傾きかけた流れを引き戻した。西谷浩一監督からも「藤原のバックホームが大きかった」と称えられた。藤原の憧れはソフトバンクの柳田だ。「藤原君はシートノックの時でも歓声が上がる強肩も魅力の一つ。それにしてもすごい肩でしたね」。視察したソフトバンクの稲嶺誉スカウトは“ギータ級”の鉄砲肩に思わず舌を巻いた。

 最強世代と形容される3年生の中でも飛び抜けた身体能力を誇る。遠投110メートル、50メートル走5秒7。握力は右が85キロ、左が90キロだ。腕相撲はずっと一番。柿木が強いけど、圧勝します」とサラリと言ってのけた。体力テストは80点満点で78点。長距離走が唯一の苦手で、200人中2位に甘んじたが「他の種目は断トツです」。ことし7月。遊び感覚でマウンドから投げた球は144キロを計測した。

 「吉田投手はこの大会でも一番の投手。でも、この投手から打たないと優勝はない。吉田君をつぶせば勝てるし、チャンスでの1本に集中したい」

 決勝の相手は金足農に決まった。最速150キロを誇る、みちのくの剛腕攻略に自信満々だ。今大会は左翼、右翼、中堅へ3本のアーチをかけた。決勝戦史上初の2本塁打を放った昨春の選抜を加え、甲子園での5本塁打はOBの平田(中日)、森(西武)に並んで歴代5位タイの記録だ。決勝で一発を放てば、左打者では歴代トップに躍り出る。史上初2度目の春夏連覇の偉業へ――。新しい伝説を刻み、そして主役の座も渡さない。(吉仲 博幸)

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2018年8月21日のニュース