金足農、初の決勝進出!“輝星伝説”東北悲願の大旗へあと1つ

[ 2018年8月21日 05:30 ]

第100回全国高校野球選手権大会準決勝   金足農2―1日大三 ( 2018年8月20日    甲子園 )

9回無死、味方の好守に雄叫びを上げる金足農・吉田(撮影・北條 貴史)
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 金足農が1915年準優勝の秋田中以来、秋田勢103年ぶりの決勝進出を果たした。吉田輝星投手(3年)が強打・日大三(西東京)の前に仁王立ち。奪三振は7で史上初の5試合連続2桁奪取こそ逃したが、1失点の5連続完投で僅差を死守した。84年にPL学園に敗れた準決勝を越え、21日午後2時開始の決勝へ。東北勢初の日本一を懸け、初の2度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭(北大阪)と激突する。

 まだ試練があるのか。9回1死、吉田は高くはねた飯村の打球を軽快に捕った。送球しようと目を向けた一塁に、誰もいない。一塁手の高橋も打球へ動いていた。この日最速の148キロを2球続け、続く145キロで打ち取ったはずが、不運な内野安打。代打・前田には三塁強襲安打を浴びた。一、二塁。仲間の動揺が分かった。

 「自分は冷静だった。今まで打線に助けてもらったので、次は自分の番だと思った」

 湧き上がる力。「魔物」には屈しない。柳沢を143キロ直球で左飛に仕留めた。金子に投じたこの日134球目は142キロ直球。鈍い音とともに打球は中堅へ上がった。「ああ捕ったな。やっと決勝だ」。吉田は右の人さし指で大友の捕球を確認し、ほほ笑んだ。

 8回も厳しかった。1死から金子を右前打で出した。準決勝の8回裏、1死一塁。金足農には、悔しい歴史がその場面にあった。

 84年。2―1の8回1死一塁でPL学園・桑田真澄に逆転2ランを浴び、決勝進出を断たれた。走塁死で好機を逸した直後の一発。吉田は前日、ナインとともに動画を見た。

 木代の左前打でピンチが広がる。2死後、4番・大塚に左前適時打を浴びた。2―1。あのスコアだ。だが、吉田は「全く意識はなかった」。見えるのは目の前の打者だけ。中村からツーシームで空振り三振を奪った。直前にスクイズ失敗もあり流れが34年前と重なった8回。呪縛を断ち「先輩たちの最高成績を超えられて、うれしい」と口にした。

 農業に支えられる。全5戦完投で749球。秋田大会からは1395球だ。「あきたこまちでパワフルになりました」。宿舎には「秋田県ごはん食推進会議」から3度にわたり計300キロのあきたこまちが届いた。JA秋田からも米俵やメロン、トマトジュース。地元の応援、農作物がスタミナ源になった。

 秋田だから足腰が粘る。冬場は雪のため、ボールを使った練習は2月まで一切なし。正月明けに学校で行う合宿は3時間と2時間、長靴を履いて一日2度ランニングをした。

 「下半身が安定したから、バックスピンの利いた球を投げられる。つらい冬を全員で乗り越えたから、今のチームになれた」

 秋田大会優勝の時から「大阪桐蔭と戦いたい」と言い続けた。100回大会のファイナルで、その強大な相手と戦う。「秋田の期待と東北初優勝の期待を背負って、絶対勝ちたい。自分がゼロに抑えたい」。三沢で69年決勝に敗れた太田幸司氏が始球式を務める一戦。残る扉を開ける。(武田 勇美)

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