「鎌倉殿の13人」頼朝墜つ“最期の言葉”は政子への初回の“あの台詞”三谷幸喜氏が明かす作劇

[ 2022年7月3日 20:45 ]

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第26話。起き上がって縁側に座り「これは何ですか?」と政子に尋ねる源頼朝(大泉洋)(C)NHK
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 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は3日、第26回が放送され、俳優の大泉洋(49)が硬軟自在に演じ、圧倒的な存在感を示してきた鎌倉幕府初代将軍・源頼朝の最期が描かれた。物語前半最大のクライマックスの1つ。脚本の三谷幸喜氏(60)に作劇に込めた思いを聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 第26話は「悲しむ前に」。落馬した源頼朝(大泉)の容体を心配する政子(小池栄子)。安達盛長(野添義弘)が涙に暮れる中、北条義時(小栗)は先を見据え、大江広元(栗原英雄)らと頼朝の嫡男・頼家(金子大地)を次の鎌倉殿とする新体制作りを始める。しかし、頼家の乳母父・比企能員(佐藤二朗)の台頭を嫌うりく(宮沢りえ)が、夫・北条時政(坂東彌十郎)を焚きつけ、この流れに対抗。鎌倉に不穏な空気が流れる中、狩りから戻り、父・頼朝の容体を知らされた頼家は…という展開。

 極楽往生のため、頼朝は「臨終出家」そして、政子は眠ったままの頼朝のために食事を運ぶ。「お話があるの」と駆け寄る実衣(宮澤エマ)に、政子は「これ見て。初めてあの方にお会いした時、お出ししたの。でも置いておけば、何かのきっかけになるかもしれないでしょ」と思い出の食事に望みをかけた。

 実衣は夫・阿野全成(新納慎也)が兄・頼朝の跡を継ぐ覚悟を決めたと報告。政子は「やめてちょうだい、まだ早いわ。あなたに御台所が務まるものですか!あなたには無理です」と厳しい口調になった。

 食事を置いても、頼朝の反応はないまま。いつの間にかうたた寝した政子が目覚めると、頼朝が縁側に座っている。器を手に取り「これは、何ですか?」――。初回(1月9日)、政子が食事を運んだ時も、頼朝は「これは何ですか?」と政子に尋ねていた。

 政子は「誰か」と廊下に飛び出し、助けを呼ぶが、一瞬の間に頼朝は倒れている。政子は「佐殿!」と身体を揺すったものの、既に頼朝の息はなかった…。

 三谷氏は「第1回の頼朝の台詞『これは何ですか?』を書いた時、これを頼朝の最期にも使おうなんて思っていなかったです。意識を失って、ただそのまま最期を迎えるのは嫌だったので、一度、蘇らせたいという思いはありました。目覚めた時、頼朝は政子に何を言うだろうかと考えた時、さかのぼってあのシーンを思い出したんです。ただ、第1回と季節が全然違うので、季節考証的には同じ料理は出せないのですが、そこは物語としての面白さを優先していただくことになりました」と明かした。

 浮気発覚時や征夷大将軍就任時など数々の爆笑シーンを生んできた頼朝と政子だが、最期は初めて出会った時に戻ったかのように、2人だけの時間を過ごした。

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