もしこの世界から○○が消えたら…STU48「花は誰のもの?」発売2カ月でじわり浸透 空耳が後押し

[ 2022年6月20日 10:42 ]

STU48「花は誰のもの?」のダンスリリックビデオ。「もしこの世界から国境が消えたら」といったメッセージ性の強い歌詞が強調されている
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 ♪もしこの世界から国境が消えたら 争うことなんかなくなるのに――と歌い出すSTU48の最新曲「花は誰のもの?」(以下、花誰)が発売から2カ月たつ今もじわじわと支持を広げている。平和を願うメッセージや空耳など話題が多岐にわたっており、一段と浸透していきそうだ。

 「こういうアイドルの歌を楽しくカラオケで歌っていた時に、ふと“この1行って深いな”と思った人が調べてみようとか、入り口になったらいいと思う」。作詞した総合プロデューサーの秋元康氏(64)は17日の音楽番組に出演した際、同曲に込めた思いをこう明かした。

 2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻を受けて制作されたメッセージソング。核戦争の危機が世界で急速に高まる中、被爆地・広島を拠点に活動するSTUに同曲が託された。関係者によると、メンバーも「幸せを願う気持ちを込めて歌いたい」などと話しており、この曲を自分たちが歌う意味をかみしめている。

 SNSの投稿に目立つのは「街でよく耳にする」「バイト先でよく流れている」といった反応だ。所属レコード会社によると、「週間USEN HIT J―POPランキング」では4月23日に13位で初登場してから、1位、7位、24位、34位と週を追うごとに順位を下げたが、6週目にして4位に急浮上。6月8日付のチャートでは3位とさらに順位を上げた。この結果を受けて、作曲を手掛けた元チェッカーズの鶴久政治(58)もツイッターで「ファンの皆んなの応援は最強です」(原文ママ)と感謝した。最新チャートで順位を落としたものの、レコード会社関係者は「リクエストが根強く届いていると聞いているので、今後も街中で耳にする人は増えていくのではないでしょうか」と手応えを口にした。

 YouTubeに公開されたミュージックビデオは3種類で計155万回超え。約8カ月前にアップされた前作「ヘタレたちよ」の関連映像の合計再生回数を既に上回った。特に歌詞と踊りを強調して制作されたダンスリリックビデオは20日午前10時現在で約63万2000回と再生回数を伸ばしており、英語、中国語、インドネシア語など海外からも好意的なコメントが寄せられている。

 楽曲の浸透を後押しした意外な一因がある。それが空耳だ。「もしこの世界から国境が消えたら」と歌う部分が「もしこの世界から東京が消えたら」に聞こえるという人が続出。SNSには聞き間違いをして「挑発的」「ギョッとした」「東京憎み過ぎ」などと投稿が相次いでおり、レコード会社関係者は「誰が歌っているのかと気になった方々が“答え合わせ”のように検索して歌を改めて聞く動きがある」と指摘。こうした現象はメンバーにも伝わっており、沖侑果(22)は17日にツイッターで「もしこの世界から東京が消えたら、ではなく国境が消えたらです!東京は消えません!これからもたくさん聴いてね」とアピールした。

 加えて「おひさま」効果もあった。実は約2カ月前、ライブ配信サービス「SHOW ROOM」で日向坂46上村ひなの(18)の配信後、自動的にSTU瀧野由美子(24)の配信にジャンプした日があった。この時、上村の配信を見ていた「おひさま」と呼ばれる日向坂ファンが瀧野の配信に大量に流れ込んだ。視聴者数が急増してあっけにとられた瀧野だったが、日向坂メンバーとのエピソードを紹介したり、親しみのある人柄などが伝わり、STUファンの裾野拡大につながった。

 これまでデビュー曲の発売延期や船上劇場の終了など何度も困難に直面してきたSTU。5月3日に広島市で予定された節目の5周年コンサートも新型コロナウイルスの影響で延期された。「その全てを糧に彼女たちは活動してきた」とレコード会社関係者は力を込める。7月10日には延期されていた5周年コンサートが開催され、8月に放送が予定されているNHK「れいわのへいわソング」への出演も決まった。逆境をバネに前進してきたメンバーたち。その歌声とともに平和への願いを世界の人々に届け続ける。

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