藤井七段、王位戦挑戦者決定Lで菅井八段と激突 マスク着用で盤の前へ

[ 2020年4月10日 10:45 ]

王位戦挑戦者決定リーグで対戦中の菅井竜也八段(右)と藤井聡太七段(代表撮影・日本将棋連盟)
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 将棋の最年少棋士・藤井聡太七段(17)が10日、大阪市の関西将棋会館で午前10時に始まった王位戦挑戦者決定リーグで菅井竜也八段(27)と対戦している。

 日本将棋連盟が8日に発表した新型コロナウイルス感染防止策のため、5月6日までの対局がなくなった藤井にとって、これが再開されるまでの最後の対局。この日は連盟による全棋士通達に従ってコロナ感染拡大以降、初めてマスク着用で盤の前に座った。

 事前に先手に決まっていた菅井が初手で角道を開けると、後手の藤井はルーティーン通りお茶を口にしてから、飛車先の歩を突いた。この日は報道関係者による対局前の写真撮影、終了後のインタビューとも代表取材となっている。戦型は振り飛車党の菅井により、三間飛車となった。

 菅井との対戦成績は3勝2敗。直近の先月31日、棋聖戦の決勝トーナメント準々決勝で千日手、指し直し局の末で勝つなど藤井が3連勝中だ。持ち時間は各4時間で、昼食休憩を挟んで本日中の終局が見込まれている。

 王位戦は、藤井が屋敷伸之九段(48)の持つ最年少タイトル獲得記録(18歳6カ月)更新の可能性を残す4棋戦(他に棋聖、王座、竜王戦)の一つ。挑戦者決定リーグは、予選トーナメントを突破した8人にシード棋士4人を加えた計12人を紅白2組に分けて実施。最後に両組の優勝者同士が戦い、その勝者が挑戦者となって、木村一基王位(46)と例年7~9月に実施されるタイトルをかけた7番勝負を行うことになる。

 6人総当たりの白組では、ここまで3戦負けなしの藤井と菅井竜也八段(28)を、羽生善治九段(49)が3勝1敗で追う展開。この日の対局で勝った方が暫定でリーグの単独首位に立つ。

 日本将棋連盟は8日に、政府の新型コロナウイルス緊急事態宣言を受けて感染拡大防止策を発表。(1)東西遠征等対局者の長距離移動(100キロ超)を含む公式戦は原則5月7日以降に延期(2)東西の将棋会館での対局を1部屋1局以下に抑えるというもので、実施期間は11日から5月6日までとされた。

 棋界全体ではすでに名人戦第1~3局(8日~5月8日)や叡王戦第1、2局(12日、5月4日)が中止になるなどしているが、関西所属ながら愛知県在住のため、対局が行われる東京・大阪の将棋会館への移動が100キロを超える藤井もこの規制に直面。今月中に東京で予定されていた棋聖戦挑戦者決定トーナメント準々決勝(郷田真隆九段―佐藤天彦九段戦=10日=の勝者)が延期となるなどしている。

 例年6月上旬開幕の棋聖戦5番勝負は、藤井にとってタイトル戦出場史上最年少記録(17歳10カ月)更新のラストチャンス。今回の対応で番勝負の大幅な日程変更が強いられる場合、その快挙達成にも影響が及ぶ可能性もある。

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2020年4月10日のニュース