大船渡・佐々木、練習試合で20K完投!最速156キロ ネット裏からどよめき

[ 2019年7月8日 05:30 ]

練習試合   大船渡3―2盛岡一 ( 2019年7月7日    盛岡一 )

最後の夏へ向けて順調な仕上がりを見せる大船渡・佐々木
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 第101回全国高校野球選手権(8月6日から16日間、甲子園)の地方大会は7日、神奈川大会など新たに6大会が開幕。19大会で計156試合が行われた。8日は14大会90試合が行われる。また、最速163キロを誇る大船渡・佐々木朗希投手(3年)は盛岡一との練習試合で9回3安打2失点、毎回20奪三振の完投勝利。15日に遠野緑峰との初戦を迎える岩手大会前最後の実戦で156キロを計測し、完璧な仕上がりをアピールした。

 夢を実現させるには1球の失投が致命傷になる。今年初となる一発を浴びた。その表情には怒気を帯びていた。佐々木の目つきが鋭くなった。

 7回だ。先頭・高橋伶にスライダーを左翼へ運ばれた。その直後、5番・浅野目の初球だ。火の玉のような剛速球が胸元に投げ込まれた。4月に行われたU18W杯代表候補合宿の紅白戦で163キロをマークした以降では、最速となる156キロ。ネット裏からはどよめきが起こった。

 甲子園9度の出場を誇る古豪の4番を任されている高橋伶は「人生で一番うれしかった。一生の自慢になる」と一発を放って喜んだが、想像を超える1球に「(本塁打で)火を付けてしまった。浅野目が死ぬんじゃないかと思った」と驚がくした。

 4月中旬に骨密度を測定。国保陽平監督は「(160キロの)球速に耐えられる骨、筋肉、じん帯、関節ではなかった」と全力投球を抑えてきた。そこからギアを徐々に上げ、160キロ手前までステップアップ。被弾した7回に自らの失策で追加点も許したが、それ以外はほぼ完璧だった。

 初回1死二塁ではスライダーとフォークで3、4番を連続三振に斬った。終わってみれば、5月11日の紫波総合戦で奪った16三振を超える今年最多の20奪三振に、盛岡一の川又範明監督も、「全てが高校生離れしている。岩手の宝です」とうならせた。

 しかも、柏木農戦で5回無失点に10奪三振で70球を投じた翌日だ。この日も140球を投じたが疲れも見せず2日で計30奪三振。「(夏大会では)どこでも任されたところを投げたい」と話していたが、連投&完投という課題も払しょくした。

 「何がなんでも甲子園に行きたい。一緒に頑張ってきた仲間のために甲子園に行っていいものを見せたい」。佐々木は何度も甲子園への思いを口にしてきた。初戦は15日の遠野緑峰戦。令和の怪物の準備は整った。 (武田 勇美)

 《ロッテスカウト絶賛「連投とは思えない」》巨人、ロッテの2球団3人のスカウトが佐々木の投球をチェックした。ロッテ・柳沼強スカウトは「連投とは思えない力強いボール」とスタミナ面も評価した。球団ではブルペン捕手も長く務めた経験があるだけに、「見る度に良くなっているし、直球の球筋もスライダーのブレーキも良い」と独自の目線で絶賛した。

 ◆1試合最多奪三振記録 夏の甲子園では、桐光学園・松井裕樹(現楽天)が12年に今治西戦で記録した22奪三振が最多。センバツは63年のPL学園・戸田善紀が持つ首里戦での21奪三振。岩手大会は81年夏に広田水産・佐々木昌章が記録した20が最多記録となっている。また、プロ野球では野田浩司(オ)が95年4月21日のロッテ戦で19三振を奪っている。

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