玉ノ井親方評論 白鵬の強さは攻めの速さ 立ち合いに工夫

[ 2019年11月23日 19:52 ]

<大相撲九州場所十四日目>白鵬(左)は外掛けで御嶽海を下し優勝を決める(撮影・岩崎 哲也)
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 白鵬の強さの源は攻めの速さに尽きる。今場所は体の状態を含め、多少なりともどこかに不安があったはずだ。ただ、本人もそれが分かっているから相手よりも常に速く攻めることを心掛けていたと思う。

 御嶽海戦も右で張ってすぐに左を差し、右上手を取って、十分の形になると外掛けで勝負を決めた。その間、わずか3秒9。相手に反撃のスキを与えず、速攻相撲で43度目の賜杯を手にした。

 30代も半ばにさしかかり、若い頃に比べれば、もちろん体力面の衰えはあるだろう。だが、対戦する相手のことを研究し、立ち合いでかち上げにいったり、張り差しにいったり、当たる位置をずらしたりと工夫を重ね、相手よりも少しでも速く攻めることで、そういったものを感じさせない強さを見せている。

 立ち合いで一歩踏み込む圧力、スピードは今もぬきんでている。だが、横綱に挑む者はそこを崩していかないと勝機は見えてこない。そういう意味で、2日目に白鵬から金星を奪った大栄翔の相撲は、他の力士の参考になるはずだ。立ち合いで手をついた状態から起き上がる時に、いい角度で横綱の体に当たり、勢いよく前に踏み込んでいった。横綱を崩すには立ち合いの当たり、そしてその後の攻めと流れが大事になることを証明した一番だった。これからの挑戦者はそこをもっと磨いていってもらいたい。

 一方、敗れた御嶽海は立ち合いがまともすぎた。横綱に左を差されてまわしを獲られた時点でダメ。もっと当たってから相手をはじくとか、差していくとか、距離を詰められないように何か仕掛けていかないと勝負にはならない。

 序盤の取組で右まぶたを切った影響は、少なくなかったと思う。この日は土俵下の審判として取組を見ていたが、意識が右目にある感じだった。立ち合いは頭からいっていたが、いつものような当たりの強さがなかった。状態がいい時なら横綱に差されても、巻き替えにいくとか突き放すとか何か反撃に出ていたはずだが、そういう動きも見られなかった。

 これで負け越しとなり、大関獲りはまた一からやり直しとなった。ただ、ケガがあったとはいえ、本来の相撲が取り切れなかったのは本人の力不足。もう一度、体をつくり直して、立ち合いの圧力とスピードのある相撲を取り戻せるように奮起してもらいたい。(元大関・栃東) 

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