阿部詩、号泣銀…五輪内定1号ならず対外国人無敗記録連勝48でストップ

[ 2019年11月23日 05:30 ]

柔道 グランドスラム(GS)大阪大会第1日 ( 2019年11月22日    丸善インテックアリーナ大阪 )

決勝で敗れ、表彰式でも涙が止まらない阿部詩(撮影・北條 貴史)
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 優勝すれば五輪代表内定の可能性が高かった阿部一の妹、女子52キロ級の詩(19=日体大)は外国勢に初黒星を喫し、柔道界最速の内定を逃した。

 夢舞台への切符に王手をかけながら、阿部詩がもう一手のところで取り逃した。準決勝でライバル志々目を直接対決で破り、決勝はブシャールと対戦。「ビビってしまった」と後退した一瞬の隙を突かれ、肩車で浮かされた。畳を下りると膝が崩れ、顔を腕で覆った。16年12月のシニア国際大会デビューからの対外国人無敗記録は、48でストップした。

 「情けなくて悔しい思いでいっぱい。いつもと相手の組む形が違い、気持ちの面でも勝たないと、と思いすぎた」

 1回戦は14秒、3回戦はわずか5秒。文字通り瞬殺で勝ち上がった。準決勝でも序盤は組み手争いで劣勢を強いられたが、3分6秒、相手が得意とする内股を透かして一本。世界選手権2連覇を含み、国際大会無敗。国内のライバルも直接対決で圧倒する完璧なシナリオだったが、最後の最後に崩れた。

 今春、兄・一二三を追うように日体大に進学。東京で開催された今夏の世界選手権を兄妹で制し、2人で五輪代表を引き寄せる腹づもりだった。だが兄は丸山に敗戦。自身の連覇にも、うれしさ半分、悔しさ半分の煮え切らない思いが残った。「2人で優勝して“どうだ見たか”と周りにアピールしたい」。強い誓いを立てて臨んだ大会だったが、今度は自分が敗れ、明暗は入れ替わった。

 それでも五輪代表争いの先頭を走っていることに変わりはない。女子日本代表の増地克之監督も「阿部にはまだアドバンテージがある。もう一度気を引き締めるための、いい薬になってくれればいい」と話した。表彰式を終えても、泣き腫らした表情のままだった詩は「チャンスがなくなったわけではない。負けを受け止め、必ず次につなげたい」と誓いを立てた。

 ▽柔道の東京五輪代表選考方法 代表は男女各7階級1人ずつ。代表争いによる消耗の軽減、五輪までの準備期間を確保することを目的に、全日本柔道連盟は初めて3段階に分けた選考方法を導入した。

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