【鎌倉殿の13人 主な退場者】総勢約100人 異色のダーク大河“しぬどんどん”最後は主人公・北条義時

[ 2022年12月30日 10:00 ]

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」最終回(第48話)。床にこぼれた毒消し薬を舐めようと、這いつくばる北条義時(小栗旬)(C)NHK
Photo By 提供写真

 脚本・三谷幸喜氏(61)と主演・小栗旬(40)がタッグを組み、視聴者に驚きをもたらし続けたNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は今月18日、最終回(第48話)を迎え、完結した。主な“退場者”を振り返る。

 <※以下、ネタバレ有>

 大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は大河出演8作目にして初主演に挑んだ。

 最終回は「報いの時」。北条義時(小栗)は北条泰時(坂口健太郎)を鎌倉方の総大将に据え、朝廷との“最終決戦”「承久の乱」(1221年、承久3年)に勝利。後鳥羽上皇(尾上松也)を隠岐島へ流罪とした。

 3年後、義時は不意に昏倒。京の知り合いが送ってきたという「薬草を煎じたもの」を、のえ(菊地凛子)に勧められるが「これを飲みだしてから、具合が悪くなった気がする」。体調はさらに悪化し、医者(康すおん)によれば原因は「麻の毒」。義時が問い詰めると、のえは「あら、バレちゃった」と白状した。「私に頼まれ、毒を手に入れてくださったのは、あなたの無二の友、三浦平六殿ね」――。

 政子(小池栄子)が見舞いに訪れる。時の流れを振り返り、義時は嘘をついていた2代鎌倉殿・源頼家(金子大地)の死の真相を打ち明けた。

 義時の体調は芳しくない。「私にはまだやらねばらぬことがある。隠岐の上皇様の血を引く帝が、返り咲こうとしている。何とかしなくては」「まだ手を汚すつもりですか」「この世の怒りと呪いをすべて抱えて、私は地獄へ持っていく。太郎のためです。私の名が汚れる分だけ、北条泰時の名が輝く」。政子は小さな瓶を逆さにし、薬を床にこぼす。義時は最後の力を振り絞って立ち上がるが、バランスを崩して倒れ込む。

 「まだ!」。薬を舐めようと床を這いつくばるが、それも政子が袖で拭う。「姉上…あれを…太郎に…」。義時が指さし、部屋の隅にあるのは、源頼朝(大泉洋)の形見の小さな観音像(髻観音)――。

 政子「(髻観音を手に、義時に一歩近寄り)必ず渡します」

 義時「姉上…」

 政子「ご苦労さまでした…小四郎」

 政子はさらに近寄り、弟の頬に手を添えた。義時は静かに息を引き取る。政子の嗚咽だけが聞こえる。

 6月中旬に行われた三谷氏の取材会。「大河ドラマは3作目ですが、自分の中の決まりとしては、主人公の人生が終わる時が最終回だと思っています。理想は、主人公が息を引き取った瞬間にドラマが終わる。それが、僕にとって理想の大河ドラマですね。実際、今までの2作はほぼそうなりました。その理想に今回もたどり着けるか分からないですけど、今言えるのはそれぐらいですかね」。語った通りのラストになった。

 主人公の最期を日本のドラマ史に刻み込んだ衝撃的なラストシーンに、SNS上は放心&号泣。“漆黒の執権”として権力を手にした義時に視聴者の“ヘイト”が集まり、ダークヒーローと化した異色の大河。毎週のように陰謀や粛清が繰り返され“退場”した主な登場人物は約90人に達した。今年前期の連続テレビ小説「ちむどんどん」になぞらえ「しぬどんどん」とも呼ばれた異色のダーク大河。それでも、仕事人・善児(梶原善)にさえ最後は感情移入してしまう“三谷マジック”が冴え渡った。

 【鎌倉殿の13人 主な“退場者”】その最期や鎌倉を去ったことが描かれた、もしくは推定された主な人物。カッコ内は討った人物、要因(※印は推定、遠因)(★は13人衆)

 <第1話>千鶴丸(善児)

 <第3話>源頼政(宇治の平等院で自害=三善康信の文)、以仁王(奈良へ逃げる途中に落命=三善康信の文)

 <第5話>堤信遠(北条義時&北条宗時がトドメ)、山木兼隆(※北条宗時)、工藤茂光(善児)、北条宗時(善児)

 <第7話>長狭常伴(※三浦義村)

 <第9話>江間次郎(善児)

 <第10話>山内首藤経俊(放免、この登場が最後)、大庭景親(上総広常)、佐竹義政(上総広常)

 <第11話>平清盛(病死※後白河法皇&文覚の呪い)、義円(平盛綱=平安後期の武将、高橋左衛門尉とも※源義経の教唆)、伊東祐親(善児)、伊東祐清(善児)

 <第13話>亀(政子を叱咤激励、この登場が最後)

 <第15話>上総広常(梶原景時&善児が幇助)

 <第16話>木曽義仲(源範頼軍)、今井兼平(※源範頼軍)

 <第17話>源義高(藤内光澄)、一条忠頼(仁田忠常)、藤内光澄(源頼朝の御家人が斬首、北条義時が立ち会い)、武田信義(源頼朝との権力闘争に敗北、この登場が最後)

 <第18話>安徳天皇、二位尼、平知盛(壇ノ浦の戦い、入水)、平宗盛、平清宗(宗盛が京に戻る前に源義経の計らいにより父子対面、この登場が最後)

 <第19話>(29)源行家(ナレ死「鎌倉方に捕まり、首をはねられるのは、これより少し後のこと」=語り・長澤まさみ)

 <第20話>藤原秀衡(※病死)、静御前の息子(善児が連れ去る)、静御前(北条義時「静殿は鎌倉を去り、その後は行方知れず。美濃の青墓宿で静殿に似た遊女を見掛けたという話が」)、藤原頼衡(善児)、里(源義経)、里の娘(※源義経)、弁慶(※藤原泰衡軍)、源義経(※自害)

 <第21話>藤原泰衡(河田次郎)、河田次郎(源頼朝「恩を忘れて、欲得のために主人を殺すとは何事か」、和田義盛が連れ去り、斬首)、藤原国衡(※鎌倉軍)、八重(川に取り残された鶴丸を救出したが、流される)

 <第22話>後白河法皇(※病死)、河津祐泰(工藤祐経の襲撃=第2話)

 <第23話>工藤祐経(曽我五郎)、曽我十郎(※仁田忠常)、曽我五郎(梶原景時が斬首を宣告)

 <第24話>岡崎義実(曽我事件への関与を疑われたが、その功により斬首は免れて出家。鎌倉を去る)、一条高能(大姫は嫁がず、この登場が最後)、陳和卿(源頼朝について「殺生を重ねた大悪人。既に仏にも見放されている」→源実朝の唐船建造を指南=第42話)、大姫(病死)、トウの両親(善児)、源範頼(善児)

 <第25話>あき(3年前に病死、相模川で供養)

 <第26話>源頼朝(落馬、病死)

 <第27話>文覚(土御門通親暗殺計画が発覚し、捕らえられる→隠岐島へ流罪の後鳥羽上皇に「隠岐は、いい所だ!」「何もないぞ。一緒に暮らそう!」=最終回)、佐々木秀義(三浦義村「もう死にました」)

 <第28話>★中原親能(三幡の乳母夫だったが、三幡が病死。出家し、鎌倉を去る→京にいる=第32話→平賀朝雅の妻・きくに「鎌倉は怖い。もうたくさんじゃ!」=第38話)、★梶原景時、梶原景季(上洛を計画したが、北条義時が阻止→首桶=第29話)、土御門通親、土肥実平、結城朝光、千葉常胤(この登場が最後)

 <第29話>★三浦義澄(病死、北条時政が振り払う)、★安達盛長(比企能員「奸賊、梶原景時がいなくなりましたな。義澄と盛長も去り、もはや宿老たちの評議はあってないようなもの」)、安達景盛(この登場が最後)

 <第30話>平知康(「鎌倉殿にいらんと言われたのだ。(京に)帰るしかなかろう」→押松として18年ぶりに鎌倉入り=第47話)、阿野全成(八田知家)

 <第31話>頼全(源仲章の沙汰)、★比企能員(仁田忠常)、せつ(トウ)、道、比企時員、比企宗朝(※北条軍)、比企尼(※北条軍→善哉に「北条を許してはなりませぬ」=第32話)

 <第32話>比奈(義時と離縁、鎌倉を去る)、仁田忠常(自害)、一幡(※「一幡様、トウと水遊びいたしましょう」)

 <第33話>源頼家(トウ)、善児(トウ)

 <第34話>九条兼実(慈円と対話、この登場が最後)、北条政範(病死→平賀朝雅が毒を盛る=第38話)

 <第36話>畠山重保(三浦義村&和田義盛勢)、★足立遠元(政子に相談し、鎌倉を去る)、畠山重忠(愛甲季隆)、稲毛重成(三浦義村)

 <第37話>ちえ(「武蔵へ帰らせていただきます」「畠山重忠の妻は、のちに、この本領で再婚することとなる。生まれた子は、畠山の名を継いだ」=語り・長澤まさみ)

 <第38話>★北条時政(伊豆へ流罪→「北条時政は、この後、78年の生涯を閉じた。鎌倉を追われてから、10年後のことである」=語り・長澤まさみ、第42話)、りく(時政と伊豆へ流罪→京へ戻る=第42話→北条時房&北条泰時と再会=最終回)、平賀朝雅(北条義時の命令)

 <第40話>和田胤長の娘(病死)、和田胤長 (陸奥へ流罪)

 <第41話>★和田義盛(北条義時の騙し討ち&三浦義村の弓隊)、朝比奈義秀(この登場が最後)、和田義直、和田義重(北条軍&三浦軍)、巴御前(和田義盛から「生き延びろ」、この登場が最後)

 <第42話>丹後局(鎌倉入りし政子を叱咤激励、この登場が最後)、★八田知家(源実朝の唐船建造に携わり「俺はこの仕事を最後に、隠居しようと思っている」「最後に夢のある仕事に出会えた。この船が完成すれば、思い残すことはない」、この登場が最後)、サツキ(北条時政の世話。この登場が最後)

 <第45話>源仲章、源実朝(公暁)、公暁(三浦義村)

 <第46話>阿野時元(ナレ死「挙兵を目前に、義時の差し向けた兵に囲まれ、自害」=語り・長澤まさみ)

 <第47話>源頼茂、伊賀光季(朝廷軍)、慈円(後鳥羽上皇「鎌倉の息がかかった者は、ここには要らぬ」「下がり」、この登場が最後)

 <最終回>★北条義時(のえ&三浦義村が毒殺を図る、政子が“引導”)

続きを表示

2022年12月30日のニュース