永瀬王座 宿命のライバル豊島九段破り2勝目 暫定2位浮上 王将戦挑戦者決定リーグ

[ 2022年10月26日 05:03 ]

豊島九段(右)を下した永瀬王座(撮影・久冨木 修)
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 将棋の第72期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)挑戦者決定リーグは25日、東京都渋谷区の将棋会館で1局を行い、先手の永瀬拓矢王座(30)が135手で豊島将之九段(32)に勝った。永瀬は2勝1敗、豊島は1勝1敗。

 永瀬といえば「負けない将棋」。受けに独特の感性を持ち、時と場合によっては入王も辞さない棋風が持ち味だ。だがこの日は違った。攻めの姿勢を最後まで貫き、リーグ2勝目を手中にした。

 「全体的に銀損の仕掛けでしたが、その代償が得られたか。(勝勢は)指している時は分からなかったです」

 序盤早々に銀桂交換し、先に馬をつくったまでは計算内。59手目の[先]3五歩に24分を投じたのは4五歩と迷ったからだ。「自信がない」という中盤戦では思い切って馬と銀を一挙に清算。盤面中央をすっきりさせて相手の飛車を捕獲し、一転して右辺から後手王を追いかけ回した。最終盤は攻め駒ながら左上辺に置き去りにされた金銀を生かす形で豊島を投了に追い込むフィニッシュ。「勝利のポイントは…ちょっと分からないです」と吐露した心境とはやや異なる快勝譜が残された。

 相手の豊島は宿命のライバルでもある。この日の対局前まで23局の手合があり、永瀬の13勝10敗。一昨年の叡王戦7番勝負では千日手指し直し1局、持将棋2局を経て計9局の熱血勝負を演じ、3勝4敗で失冠したものの、今年の王座戦5番勝負では3勝1敗で防衛に成功した。常に紙一重の戦いを繰り広げるこのカード。リーグ内でも2勝目を挙げ、3戦全勝で暫定首位を走る羽生善治九段(52)追走のためには落とせない一戦だった。

 その羽生との一戦は31日。「リーグの折り返しでここから短い間隔で対局が続く。精いっぱい準備します」と、2期ぶりの挑戦権獲得に焦点を定めていた。
 

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