広瀬陽子教授 ロシアの思惑「パラリンピックの最中に戦闘をしてしまうと中国の顔に泥を…一時休戦も」

[ 2022年3月3日 15:25 ]

東京・赤坂のTBS社屋
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 ロシア政治を研究し、政府の国家安全保障局顧問(2018~20年)などを歴任した慶大総合政策学部教授の広瀬陽子氏が3日、TBS系情報番組「ゴゴスマ~GOGO!Smile!~」(月~金曜後1・55)に出演。ロシアのウクライナへの侵攻について言及した。

 ロシア軍は1日にウクライナの首都キエフのテレビ塔を攻撃。第2の都市、東部ハリコフでも2日、中心部の大学と警察庁舎がミサイル攻撃で損壊し炎上した。ロシアは主要インフラを標的にすることで圧力を強め、停戦交渉を有利に進める狙いとみられる。ウクライナ非常事態庁は2日、ロシアの攻撃でこれまでに民間人2000人以上が死亡したと発表した。

 MCの石井亮次アナウンサーに「昨日に行われる見通しだったんですけども、昨日行われなかったっていうのは、どうなことが考えられるんでしょうか?」と聞かれた広瀬氏は「基本的に双方の言い分が全く食い違っているということがあるわけなんですけど、さらに開催地の問題があると思います。常にロシア側はベラルーシというほぼ同盟国を指定してくるわけなんですけれども、ウクライナとしては敵地で交渉はしたくないということでポーランドなどの第三国を主張してきたんですね。2回目の交渉は当初はポーランドで行われるという話だったんですが、それがまたバラルーシに変わったということで、開催地でももめている可能性があり、さらにお互いの言い分が全く食い違っているので、その辺の調整でももめている可能性があると思います」と自身の見解を述べた。そして、開催地は大きな意味を持つと言い、「心理的にも大きな意味を持ちますし、敵地で交渉するっていうのは非常にプレッシゃーが大きいものですので、できれば第三国ないし友好国でやりたいというのが本音だと思います。また延期になる可能性もなきにしもあらずだと思います」と話した。

 また、2回目の停戦交渉での事態の進展は「期待できないと思います。そもそも両国とも早期の解決は期待していないと思います」としつつ、「しかし、もう一つ気になるのは北京でパラリンピックが始まるということなんですね。おそらく当初のロシア側の見込みでは、この五輪とパラリンピックの間に戦闘も交渉も全部終えてしまうということを計画していたと思うんです。できれば中国というのはロシアにとって非常に大事な友好国ですから、パラリンピックの最中に戦闘をしてしまうと中国の顔に泥を塗るということになりますので、できればその前に交渉を終えたかったはずなんですね」と説明。その上で「でもこれだけ戦闘が膠着化(こうちゃくか)してしまうと、一つ考えられる戦略としては、例えば今日明日に交渉して一時休戦という形でパラリンピックの間の戦闘は避けて、またその後に交渉と戦闘を再開するという選択肢もあり得るかも知れないと思っています」と自身の見解を述べた。

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2022年3月3日のニュース