斎藤八段 2期連続の名人挑戦を5人目のA級全勝で飾れず 糸谷八段に87手で敗れ快挙逃す

[ 2022年3月3日 22:42 ]

糸谷哲郎八段とのA級順位戦最終局に臨んだ斎藤慎太郎八段(日本将棋連盟提供)
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 将棋の渡辺明名人(37)=棋王との2冠=への挑戦権を争う第80期名人戦のA級順位戦最終局は3日、静岡市「浮月楼」で一斉に指され、すでに名人挑戦を決めていた斎藤慎太郎八段(28)は糸谷哲郎八段(33)に87手で敗れ、史上5人目のA級での全勝による名人挑戦を逃した。A級全勝は1971年度の中原誠十六世名人(74)、03年度の森内俊之九段(51)、11年度の羽生善治九段(51)、19年度の渡辺が達成していた。

 「どこまでいってもまとめにくく、作戦的にまずかった。途中から神経を使いすぎた」。70手目、手筋と思われた垂れ歩が緩手となり、そこまでほぼ互角の熱戦を損ねた。斎藤は終局後、「ひどい錯覚」と悔いた。

 斎藤の後手で戦型は角換わり。お互い王を早々に3筋に囲い、午後からは長考合戦に突入した。

 糸谷が昼食休憩を挟んで41手目に1時間30分、43手目に1時間9分。対する斎藤も48手目に1時間41分、夕食休憩明けの56手目に1時間24分。6時間あった持ち時間と陣形も共に削り合い、糸谷が19分を消費した47手目時点で2時間14分、斎藤が5時間22分と3時間以上の持ち時間差がついた。

 そこからの逆転負けに11、12年度の羽生以来、10年ぶりの名人連続挑戦への喜びは失せた。

 「リーグの前半、中盤にかけては集中して指せた。でも最後2局は集中力を欠いた。リーグ戦は難しい」

 斎藤は昨年、渡辺に初の名人挑戦をして1勝4敗で敗退した。再挑戦の舞台が見え始めてからのメンタルコントロールの難しさを物語った。

 その経験を踏まえ「昨年課題を多く感じた。きょうも途中で失敗した。改善して一番いい状態で臨めればと思います」。奈良市出身、「西の王子」は勝って出直しを誓った。

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2022年3月3日のニュース