12年8月のフェリックス・ヘルナンデス以来出ていないMLBの完全試合…その理由は

[ 2022年5月24日 10:29 ]

12年8月15日のレイズ戦で球団史上初の完全試合を達成し、マウンド上で喜ぶマリナーズのフェリックス・ヘルナンデス投手(中)
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 MLB公式サイトが2012年8月15日にマリナーズのフェリックス・ヘルナンデスが完全試合を達成して以来、10年近く出ていない理由を分析した。

 長い歴史の中で、完全試合はポストシーズンを含めると23度。特に09年から12年に6度も起こった。09年ホワイトソックスのマーク・バーリー、10年アスレチックスのダラス・ブラーデン、フィリーズのロイ・ハラディ、12年ホワイトソックスのフィリップ・ハンバー、ジャイアンツのマット・ケイン、そしてヘルナンデスである。

 ちなみに09年のリーグの平均打率は・262、それから年々下がり続け、今年は・236。打者を抑えているのになぜ完全試合は出ないのか?理由は3つ。まずは打者のアプローチ。打者が打席でよりボールを選び、フルカウントが増え、ファールも増えていること。1打席当たりの球数は12年が3・82球、21年は3・90球。今年は3・91球だ。投手のアプローチも変わり、変化球が増えた。08年は変化球が全投球の34%だったが、現在は45%。08年から今まで直球のストライク率は51・8%だが、カーブやスライダーのようなブレーキングボールは44・7%、チェンジアップやスプリットは40・7%。変化球が増えたことで、ボール球の確率が上がり、これもまた球数が増える要因になった。監督の采配も変わった。投手に無理をさせない。12年に投手の完投は128試合あったが、18年、19年、21年と3シーズン合わせて137試合。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は近年最も成功している指揮官の一人だが、16年、リッチ・ヒルを7回89球、今年、クレイトン・カーショーを7回80球で、完全試合続行中に降板させた。MLB史上7回まで完全試合を続けながら、交代したのはこの2度だけ。

 しかし今のMLBでは無理をさせない考え方が主流になっている。ちなみにMLBのデータ部門の大家トム・タンゴによると、完全試合は確率的に2万試合に1度だそうで、30チーム162試合のシーズンなら4年に1度。09年から12年が異常だっただけなのかもしれない。

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2022年5月24日のニュース