阪神 岩貞&スアレス連続回またぎで自力V消滅回避 執念采配の矢野監督「つぎ込むしかないんで」

[ 2020年9月11日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神8-7DeNA ( 2020年9月10日    横浜 )

<D・神15>スアレス(右から2人目)を出迎える矢野監督(左)=撮影・小海途 良幹
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 阪神は10日のDeNA戦に逆転勝ちし、引き分けを挟んだ連敗を3で止め、貯金を1とした。序盤から点を取り合う展開の中、矢野燿大監督(51)は岩貞祐太投手(28)、ロベルト・スアレス投手(29)の両腕に回をまたがせる執念采配。引き分けた巨人とのゲーム差を9・5に縮め、指揮官自らが大逆襲への強い決意を示した。

 敵地で何度も強力打線の猛威にさらされながら、矢野監督は目の前の1勝を絶対に諦めなかった。追いつかれ、一時は逆転されても、最後は今、最も信頼できる岩貞、スアレスの連続回またぎで逃げ切り。6投手をつぎ込むなど勝利への執念を見せつけた指揮官は、ほっとした表情で激戦を振り返った。

 「勝ったというところでは、岩貞が粘ってくれたのと、サンズのひと振り。追い越された後にあそこでまた追い越せたというね。その2つじゃないかな」

 序盤から落ち着かない展開だった。3回に2点を先制したがプロ初先発の斎藤がその裏に同点を許す。4回1死一、二塁の好機では心を鬼にして斎藤に早々と代打陽川を送った。その陽川が期待に応え右越えに2号3ラン。流れをつかんだかに見えたが、その裏に能見が連続ソロ被弾で1点差に詰め寄られ、馬場へのスイッチを余儀なくされた。6―4となった6回には4番手・ガンケルが不調。1点を失い、なおも1死二、三塁からソトに中前2点打を浴び逆転された。

 それでも7回にサンズが左中間席に再逆転の2ランを放つと、矢野監督は勝負手を切る。残りの3イニングを岩貞、スアレスの2枚で逃げ切る構想を描き、7回は岩貞が3者凡退。8回もマウンドに上がった左腕が2死一塁でソトを迎えたところで守護神スアレスを投入した。1球で遊ゴロに仕留め9回も3人で料理。荒れた試合を最後に引き締め、リーグトップ独走の14セーブ目を挙げた。

 「(岩貞は)最近、本当に流れを止めてくれている。今日も回またぎですごくしんどいところ。疲れているのはわかっているけど、いってもらおうかなと。(スアレスは)ここまでいったらつぎ込むしかないんでね」

 8日のカード初戦が7―0から追いつかれる痛恨ドロー。9日は1―6の完敗だった。どちらに転ぶかわからなかったこの夜の試合を落とし巨人が勝っていれば、自力優勝の可能性が今季初めて消滅するところだった。

 幸い、巨人が引き分け自力V消滅は12日以降に延びた。もちろん、まだ9・5差で非常に厳しい状況は続く。11日からは甲子園に戻り広島との3連戦。15日からは敵地で巨人との3連戦が待つ。再度、宿敵への挑戦権を手にするためにも「必死のパッチ」でつかんだこの日の1勝を、大逆襲へのきっかけとするしかない。(山添 晴治)

 《6投手以上の継投は高勝率》阪神は投手6人の継投で勝利。1試合に6投手以上を使ったのは12球団最少の5試合目だが、4勝1敗と勝率は高い。この日のように先発が5回未満で降板したケースも、13試合で6勝7敗と大崩れがない。

 《自力V消滅の最短は12日》阪神はDeNAに勝ち、自力優勝の可能性が消滅する危機を回避した。首位の巨人が中日と引き分けたため、阪神の自力V消滅および巨人の優勝マジック点灯の最短は12日。

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