相次ぐ正捕手の故障 「2番手捕手」事情が浮き彫りに

[ 2020年9月11日 09:00 ]

<広・ヤ>9回無死、広岡のファウルチップをのど元に受け倒れこむ会沢(撮影・奥 調)
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 例年より24試合少ないNPBの今季120試合制。それでもシーズンは長い。折り返し地点を過ぎ「さあ、後半戦」というタイミングで、捕手勢のアクシデントが多発。今後の順位争いへの影響が出てきそうだ。

 2人の捕手が9日に負傷した。本塁での交錯プレーで左足を痛めたのはヤクルト・中村。打席でバントを試みて右手人差し指を骨折したのはロッテ・田村だ。そして10日は広島・会沢が、強烈なファウルをマスクに受けて倒れ、担架で運ばれて病院に直行して検査を受けるというアクシデントがあった。3選手の負傷が大事に至らないことと、早期の復帰を祈るばかりだ。

 広島はK・ジョンソンとコンビを組むことが多かった石原が8月27日に左足を痛めて翌日、出場選手登録を抹消。ヤクルトは今季、楽天から移籍した嶋が7月の右足骨折で離脱中と、捕手陣は厳しい状況に陥っている。パ・リーグ首位争い真っ只中のロッテは、柿沼やルーキーの佐藤を中心に今後の戦いに臨んでいくことになる。

 これだけ正捕手の故障が続けば、各球団の「2番手捕手」事情が浮き彫りになる。少し前なら巨人・日本ハムで活躍した実松、加藤や、DeNA、巨人、阪神と渡り歩いた鶴岡など、限られた出場機会で存在感を放つ捕手はいつの時代もいる。現役の代表格は西武・岡田だろう。

 大阪桐蔭の後輩・森の良き相談相手として、普段はベンチを温めるが、いざグラウンドに立つと存在感を放つ。6日の札幌ドームでの日本ハム戦では決勝打に加えて、松本の6回2失点の好投を引き出す好リード。休養日を挟んだ8日のオリックス戦では高橋光の8回まで無安打の1安打完封勝利を引き出し、5回はしぶとい右打ちで2戦連続決勝打となる二ゴロを放った。

 岡田の6日の先発マスクは8月13日の楽天戦以来約3週間ぶりだった。2番手捕手の厳しさは1軍に同行しながら出番が極端に限られるようになること。捕手2人制ではアクシデントに備えて、交代出場が極力控えられる。捕手3人制でも3番手捕手の方が打撃力があれば、守備要員として残るのは2番手の方。重労働のポジションで「親子ゲーム」と呼ばれる「2軍戦出場→1軍試合参加」のケースはほとんどない。それでも先発マスクをかぶれば、正捕手と変わらない、またはそれ以上のパフォーマンスを披露する選手が少なくないのだ。

 このポジションの選手たちは、たいてい目配り、気配り上手で、コミュニケーション能力が高い。そして苦労人の上に、高い自己犠牲の精神を持ち合わせている。西武担当時代、宮崎・南郷での春季キャンプの際、数少ない選択肢の中で夕食の店がたまたま一緒になると、途中で必ずこちらの席に顔を出して、言葉を交わしてくれたのが「岡ちゃん」こと岡田。西武には「岡田がいる」という安心感がある。

 プロ野球は後半戦から佳境に突入する。しびれる戦いの中で、各球団の捕手たちに注目したい。(記者コラム・春川 英樹)

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