広島・森下 新人王争い白熱の6勝目 ギア上げた7回に150キロ超連発「しっかり三振取ることができた」

[ 2020年9月11日 05:30 ]

セ・リーグ   広島2-1ヤクルト ( 2020年9月10日    マツダ )

<広・ヤ(11)>7回2死一塁、代打・雄平を見逃し三振に仕留め笑顔でベンチに戻る森下 (撮影・奥 調)
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 広島・森下暢仁投手(23)が、10日のヤクルト戦で7三振を奪う7回1失点で、チーム単独トップに立つ6勝目を挙げた。防御率2・39でリーグ3位に再登場。自身初の中5日登板で、8月21~23日の巨人戦で3連勝して以来となる5カードぶりの勝ち越しに導いた。9月中には首位・巨人戦に2度の登板が見込まれる。1勝差で追いかける巨人・戸郷との新人王争いも熱を帯びてきた。

 余力を残していた。1―1の6回までに球数は86球を数え、7回の攻撃では打席が回る。自身の最終回と踏んだ森下は、ギアを入れ替えた。先頭の西浦、エスコバーをともに151キロ直球で空振り三振。西田に右前打を許すも、代打・雄平を11球目の150キロ内角で見逃し三振として満足そうに笑った。「7回にしっかりと三振を取ることができたのが一番良かった」。直後の攻撃で勝ち越し。チーム単独トップの6勝目となって報われた。

 6回まで4球のみだった150キロ超が、7回には直球13球のうち8球と力を解放させた。無失点で迎えた6回先頭の坂口に右翼ポール際にソロを献上。プロ入り3本目の被弾で初めて直球を捉えられたのは、逆に言えば速球が通用し続けてきた証でもあった。

 「全球種、腕を振って投げられた。直球、カットボールだけにならずに相手も(全球種を)意識してくれたのが良かったのかな」

 K・ジョンソンの離脱で空いた木曜に前倒し。3回5失点だった4日のDeNA戦からプロ初の中5日での登板となった。これで9月下旬の週頭のカードに2度ある巨人戦への起用が可能。新人王を争う巨人・戸郷は7勝で1勝差。巨人戦の結果次第で目標のタイトルにも近づくだろう。

 熱を帯びる森下と戸郷の一騎打ち。アマチュア時代から成長の裏には常にライバルの存在があった。大分商時代、同学年のエース候補は現ソフトバンクの川瀬だった。入学当初120キロ程度だった球速を高3春を前に140キロ超にまで伸ばしてエースの座を奪った。渡辺正雄監督は、プロ入りを目指していた川瀬に「プロに行きたいなら投手として森下を超えることはできないよ」と伝え、投手志望だった川瀬は涙を流して遊撃転向を決断したという。高3夏に最速149キロまで成長したのは、切磋琢磨(せっさたくま)した戦友への思いがあった。

 この日は、プロ入り後初の同学年・高橋との投げ合いだった。口数の多くない性格ながら「同学年には勝ちたい」と公言する中での完勝。ライバルだらけのプロの世界で頼もしさが増していく。 (河合 洋介)

 ▼広島・佐々岡監督(中5日で7回1失点の森下に)前回は(73球と)少ない球数で、こういうチーム状況なので頑張ってもらおうと本人と話し合いながら決めた。新人に託すのは厳しいところもあるが、期待している選手なので。

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