楽天 数年後を見据えた巨人・高田獲得 次世代の先発陣強化狙い

[ 2020年7月15日 05:30 ]

トレードが発表された巨人・高田(左)と楽天・高梨
Photo By スポニチ

 楽天の高梨雄平投手(28)と巨人の高田萌生投手(22)のトレードが14日、両球団から発表された。左の中継ぎが手薄な巨人と、先発投手を強化したい楽天の補強ポイントが合致した。高梨と高田の背番号はともに「53」。両球団は6月25日にゼラス・ウィーラー内野手(33)と池田駿投手(27)のトレードを行ったばかり。同一球団による短期間で2度目のトレード成立の背景と思惑を本紙記者が分析した。

 楽天にとっては数年後を見据えた補強だった。石井一久GMは「先発の次の世代が凄く手詰まりしている状況。優勝争いをする中で中期的な(次の)選手がしっかりいることが大事。そういった狙いで(高田を)獲得した」と説明した。

 過去5年、生え抜きで年間20試合先発以上を複数年記録したのは、則本昂の4度、ロッテに移籍した美馬の3度だけ。2桁勝利も則本昂と美馬のみだった。「高田選手は大学4年の年。ドラフトなら1、2位でいける逸材」と同GM。岸が35歳、涌井34歳と先発陣は年齢層が高くなった。藤平ら若手先発陣は伸び悩んでおり、18年にイースタン・リーグで最多勝、最優秀防御率、最高勝率の投手3冠を獲得した高田は魅力的だった。

 左横手の高梨は昨年、対左打者の被打率が・233、右打者には・190と変則フォームを生かせなかった。同GMは「左右問わず1イニングでも多く投げられる投手が凄く大事」と救援投手に求める適性について話す。救援投手は昨年ブセニッツ、今季はシャギワを獲得。ワンポイントの要素が強い高梨の生きる場は減った。

 現役時代に日米で移籍を経験した石井GMには「他球団に行っても出場機会がなければトレードしない。出場機会がある中でできることでパフォーマンスも上がったりする」との信念がある。高梨のためのトレードでもあった。(遊軍・春川 英樹)

 ○…18年9月の就任以降、石井一久GMが成立させてきたトレードは今回が8件目。交換トレードだけでなく昨オフにはロッテから最多勝3度の涌井秀章を金銭トレードで獲得した。FA補強にも積極的で、18年オフには西武から浅村栄斗、昨オフはロッテから鈴木大地を獲得するなど、大型補強を進めている。

 ◆高田 萌生(たかた・ほうせい)1998年(平10)7月4日生まれ、岡山県出身の22歳。創志学園3年時に春夏で甲子園に出場し、16年ドラフト5位で巨人入り。最速154キロを誇り、西武・松坂のマニアを公言する。1メートル78、83キロ、右投げ右打ち。

 ◆高梨 雄平(たかなし・ゆうへい)1992年(平4)7月13日生まれ、埼玉県出身の28歳。川越東では3年夏に県大会4強、早大からJX―ENEOSを経て16年ドラフト9位で楽天入団。18年には球団初の70試合に登板し、侍ジャパン入りも経験。1メートル75、81キロ、左投げ左打ち。

続きを表示

2020年7月15日のニュース