朗希、「ミスター・ロッテ」に語った“現在地” 目標のメジャー「年齢問わず行きたい」

[ 2020年2月11日 07:00 ]

佐々木朗と対談したスポニチ本紙評論家の有藤通世氏(撮影・長久保 豊)
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 ロッテのドラフト1位・佐々木朗希投手(18=大船渡)が、通算2057安打を放ち「ミスター・ロッテ」と呼ばれた本紙評論家・有藤通世氏(73)と対談した。元監督でもある大先輩の前でメジャー挑戦の夢を明かすと、有藤氏からは指揮官として1974年に球団を日本一に導き、昨年10月に86歳で亡くなった金田正一氏の史上最多400勝へ迫る活躍を期待された。(構成・横市 勇)

 有藤 初めて会ったけれど、でかい、でかいね。体が細いと聞いていたが、投げている姿を見ると、全然小さく感じなかった。

 朗希 今は1メートル90、90キロぐらいです。最終的に100キロにいかないぐらいまでは大きくしたい。細いから駄目ではないけれど、1年間戦うには、まだ足りない。

 有藤 プロ生活が始まる。1年目の目標は?

 朗希 まずは今年は1軍で投げたい。

 有藤 長期的な目標は?米国を考えているのか。

 朗希 はい。目標にはあります。

 有藤 大谷は(日本ハムからエンゼルスへ)24歳で移籍した。何歳で行きたい?

 朗希 タイミングがあるならば、年齢問わず行きたいです。

 有藤 プロではどれくらい勝ちたい?

 朗希 15勝以上はしたいと思っています。

 有藤 負けない投手だね。今の主流は先発しても、リリーフに任せるが、どう思う。

 朗希 続投して打たれるならば、交代した方がいいとも思いますが、基本的には完投したいです。

 有藤 勝ち負けは俺が決める。いいよね。400勝を挙げた金田さんとか、ロッテの先輩の村田兆治は、勝負を人に任さない。久しぶりに会った。あんたで負けたら(監督も)諦めがつくよ。400勝という数字はどう思う?

 朗希 1月に野球博物館で金田さんの記録を見ました。凄いというか、現実的じゃないかなと感じました。

 有藤 そんなことはない。先発ならば1年間で27試合ぐらい投げる。22、23勝したら、10年で230勝だよ。

 朗希 1年で20勝だったら可能性あるけれど、10年連続とかになると…(苦笑い)。

 有藤 でも負けない投手になるんだろ。自分で勝ち負けを決めていくんだったら、シーズンで3、4敗はできる。高校で良かったころに比べ、今はどれくらいに戻っている?

 朗希 もう7、8割はできています。

 有藤 それなら、ブルペンに入って捕手が座ったら、3日ぐらいで試合に投げられる。120球じゃない。20、30球ならばだよ。

 朗希 そうですね(苦笑い)。

 有藤 球種は?

 朗希 基本的には直球にスライダー、フォークぐらいですね。

 有藤 打者は直球にターゲットを絞ってくると思うけれど、それでも直球を磨くの?

 朗希 直球があってこその変化球だと思う。求めるのは速くて切れがある直球で、(170キロとかよく言われるが)球速自体にこだわりはないです。課題はやっぱり、コントロール。これまではアバウトでも抑えられたけど、プロの打者は選球眼もいい。甘いところは打たれるので、構えたところに投げられるようになりたい。

 有藤 それは25、26歳になってからでいい。きっちり四隅に制球するなんて考えていたらキリがない。そんな小さくなることはないよ。今年、ファンに約束できることは?

 朗希 勝利です。とにかく1勝。どんな形でもいいから勝ちたいです。

 有藤 45歳までやってほしいね。45歳で完封、完投勝ちしてほしい。完全試合はどう考える?

 朗希 素晴らしい記録で狙いたいけれど、試合に勝てれば最低限いいのかなと思う。

 有藤 高校の時はどう考えていた?

 朗希 打たれる気はしなかったです。

 有藤 ならば、まずは完全試合を狙う。それが駄目なら、ノーヒットノーラン、完封、完投といった考え方がある。プロでもそんな気持ちを持ってほしいね。マウンドで“しまった”と思うことはあるよね。その時は尾を引く方?それともスパッと切り替えられる?

 朗希 切り替えられる方です。

 有藤 それはいい。物凄い球を持っている投手でも尾を引くタイプが結構多い。勝てる投手だね。球質は僕らの年代だと、左投手だけれど、近鉄で300勝した鈴木啓示に似ている。右投手で最近だと、ホークスにいた斉藤和巳かな。

 朗希 うれしいですけれど、まだまだ届かないと思います。

 有藤 平地での投球を見たら、セットポジションで投げているけれど、ワインドアップはしないの?

 朗希 セットの方が安定するので…。ワインドアップの方が、打者はタイミングを取りにくいと思うけれど、足を高く上げるのでセットからの方が安定感は増す。高校時代もやったことはないです。

 有藤 それを自分で考えてやっているんだね。でも、君のような体の大きな投手はワインドアップの方が、打者は嫌がる。やろうと思わない?

 朗希 それはあまりないですね…。

 有藤 プライベートな話だけれど、女手一つで育ててくれたお母さん(陽子さん)を喜ばせたいという気持ちがあると聞いた。一番喜ぶのはなんだと思う?

 朗希 活躍することだと思います。

 有藤 勝ち星だろ!400勝すれば、400回喜ばせられるぞ。この試合は自分で決めるという強い気持ちがあればできる。その気持ちでやってよ。この腕で400勝するんだよ。

 朗希 はい(照れ笑い)。

 ≪年齢差55歳、有藤氏“孫”にメロメロ≫
 【取材後記】有藤氏と佐々木朗の年齢差は55歳。おじいちゃんと孫といった感じだ。
 ロッテ監督時代の有藤氏は、試合中もスパイクを履いて指揮を執る熱血漢で、球団に残る教え子たちは皆、背筋を伸ばしてあいさつする。一方で、佐々木朗との対談は笑いがあふれた。「お母さんはいくつ?40代後半か。うちの長女と同じだな。おじいちゃんは?70代なの。俺と一緒だよ」と優しい表情を浮かべた。
 佐々木朗が「先発完投」を理想に掲げると、有藤氏はうれしそうに握手を交わした。大きく振りかぶって投げることを勧めたが、こちらは「うん」と言わせられなかった。それも、18歳の意志の強さと評価した。「彼は考えがしっかりしているから大丈夫だよ」。おじいちゃんは、かわいい孫息子にメロメロといった感じだった。(ロッテ担当・横市 勇)

 ◆佐々木 朗希(ささき・ろうき)2001年(平13)11月3日生まれ、岩手県陸前高田市出身の18歳。高田小3年で野球を始め、11年の東日本大震災で被災し大船渡市に移住。大船渡一中では軟式野球部に所属した。大船渡高では1年夏からベンチ入り。2年秋からエースを務め、3年春のU18W杯1次候補合宿で高校生史上最速の163キロを計測。同年夏の岩手大会は決勝で敗れ、甲子園出場なし。19年ドラフトで4球団競合の末、ロッテに1位入団。1メートル90、85キロ。右投げ右打ち。

 ◆有藤 通世(ありとう・みちよ)1946年(昭21)12月17日生まれ、高知県高岡郡(現土佐市)生まれの73歳。高知高から近大に進み、68年ドラフト1位で東京(現ロッテ)入団。69年に新人王、77年に首位打者。通算2063試合で打率.282、2057安打、348本塁打、1061打点。86年の現役引退と同時に監督に就任し、87~89年に指揮を執った。ロッテ一筋で「ミスター・ロッテ」の愛称を持つ。右投げ右打ち。

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