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材木の上でボラ釣り、漁船200隻海上デモ… 大阪万博開催1970年の風景

[ 2022年2月15日 07:15 ]

きれいな海を…の思いで海上デモ
Photo By スポニチ

 【思い出写真館】秘蔵写真で振り返るあの頃…今回は1970年(昭45)にタイムスリップ。「こんにちは こんにちは世界の国から…♪」と歌手・三波春夫が歌った大阪万博が行われた年。今では見られなくなった光景も。(浦島 二郎)

 海に浮かぶ材木の上に乗ってのんびりと竿を出す釣り人。1月2日の初釣りで、鏡餅を飾った乗合のハゼ釣り船から撮影したものだ。

 現在は埋め立てられ木場公園になった木場の貯木場で釣っているのはボラ。材木に付いた珪藻(けいそう=海藻)などを餌に40~50センチ級の良型を狙う。角乗りほどではないにしても足場が悪く、熟練者だけに許された釣りだった。

 時は第一次釣りブーム。日本テレビ系の深夜番組「11PM」の釣り情報コーナー「イレブンフィッシング」で“釣り名人”の故・服部善郎さんがさまざまな釣りを紹介。ブームに拍車を掛けた。

 大阪万博(3月15日~9月13日)期間中の8月、護岸沿いにイカリを下ろしハゼを狙う。強い日差しを避け、天幕を張っているのも和船ならではの光景だ。

 街では前年秋にリリースされ、皆川おさむが歌って大ヒットした「黒ネコのタンゴ」が流れる。そして男心を引きつけたのは藤圭子が歌った「圭子の夢は夜ひらく」。「十五、十六、十七と私の人生暗かった♪」は夜の酒場が似合う。昼間の相模湾は「15、16、17匹と私のワカシはよく釣れる!?」

 マグロがやって来る前、夏の相模湾の主役はワカシ、イナダ、ワラサ。満員の釣り人を乗せて出船だ。

 ジャンボジェット機が初めて日本の空を飛んだ。10月、木更津沖の釣り人もそんな頭上に機影を見ていたのか?今はすっかり下火になったイイダコ釣りだ。ラッキョウ餌のテンヤを竿で誘って、小さなタコが乗るのを待つ。のんびりとした釣りだった。

 戦後25年。好景気に沸く中、持ち上がったのが公害問題。9月14日、漁船約200隻が海上デモを行った。写真の船上に掲げられた幕には「東京湾を魚の住めぬ死の海にするな」とある。

 佐藤栄作政権下で11月に開かれた臨時国会は別名「公害国会」。公害基本法が改正された。環境庁が発足したのは翌71年。

 この年、忘れられない出来事が11月25日、作家・三島由紀夫が自衛隊市ケ谷駐屯地(現防衛省本省)で割腹自殺したこと。日本の将来を憂えてのことだか、それから半世紀以上がたった。希代の天才作家とてコロナ禍に見舞われた地球は予測できなかっただろう。

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