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「釣って食べたいギャル澤さん」ふなつかずき氏 リアルを追求、釣りを“盛りアゲアゲ”

[ 2026年5月15日 05:30 ]

「…ギャル澤さん」キービジュアル(C)ふなつかずき/集英社
Photo By 提供写真

 【釣り漫】釣りは想像力の遊び。時には漫画もその一助になる。釣りの世界を広げてくれる作品を紹介する「釣り漫」第1回は、集英社の漫画誌グランドジャンプで連載中の、ふなつかずき氏作「釣って食べたいギャル澤さん」。ビキニの釣り女子・ギャル澤こと春澤祭(はるさわ・まつり)が、釣りと食の魅力を掘り下げていく作品だ。

 「ギャルって釣り場にいます?」。記者の質問にふなつ氏は「いますよ。たまに」と答えた。液晶タブレットの置かれた机が並ぶ作業場。「いるよね」と呼びかけると、画面に向かってペンを握るアシスタントも「いますね」と同調。「さすがに、ビキニで釣ってる子はいないですけどね(笑い)」と盛り上がった。

 物語は釣り初心者の春澤祭がヒロイン。乗合船で出会った陰キャ青年・釣谷一尋(つるや・ひとひろ)を師匠とし、LTマアジにシイラ、ルアーアユなどあらゆる釣りに挑戦していく。連載のきっかけは担当編集者の提案。「先生、釣りお好きでしたよね。新作は釣りモノはいかがでしょう?」。モロコやバス、少年時代に楽しんだ釣りは、漫画家になると管理釣り場に時折行く程度になっていたが「コロナ下でシーバス釣りにハマり、カワハギ、シイラ、マアジ、タチウオ…」と海を中心にドハマりしたという。

 釣り漫画を描くに当たり「俺に求められているものは何だろう」と考えた。たどり着いたのは、これまでに描いてきた「華麗なる食卓」「すんどめ!!ミルキーウェイ」などで定評のある、可愛い女性キャラ。迷いはあったが「やっぱり求められるものを描きたい」と女性キャラを軸に据え、編集部と相談してギャルを主人公に24年6月、連載をスタートさせた。

 釣りバリが引っかかって祭のブラが外れるなど時折、青年誌らしい表現もあるが、ギャルを“飛び道具”にして読ませるだけの釣り漫画ではない。釣り描写は、ふなつ氏の「ほぼ実体験」。怪魚大魚でなく、現実的な釣りを丁寧に描く。タイトル通り「食」にもこだわり、調理の仕方も描く。これは「どうせなら食べるまで描きたい。釣った魚をさばいて食べたら凄くおいしかった。釣りも楽しいけど、さばくのも好きなので」というふなつ氏のこだわりから。単行本には魚のさばき方やレシピのおまけコーナーも加筆している。

 「酒」にもこだわる。実家が酒店の釣谷がチョイスする酒は、魚好きなら試してみたくなるはず。「高過ぎないのを出すようにしてます」と読者に親切なのもうれしい。

 イケイケの祭に翻弄(ほんろう)される消極的な釣谷の組み合わせは「王道のキャラ設定」で、恋愛未満の関係も気になるところ。最近は「釣谷くんが自由に動き始めた。いい味出してます」という。2人が同じ大手印刷会社で働くことになる“サラリーマンもの”の側面もあるが、釣谷の「釣りができて、魚をさばいて食べられるならそれが一番幸せ」というセリフが印象的。生きること、働くこと、楽しむことについて考えさせられる。

 6月に単行本6巻が発売。ここまで、おおよそ1巻1魚種ペースで「担当編集者と今後描きたい魚をつらつら挙げて話したら、それだけで20巻は超える感じです」という。釣りも人間模様も長く楽しめる漫画になりそうだ。

 ◇「釣って食べたいギャル澤さん」主要データ◇
 ▽世界観 現代の日本。怪魚なし、対人バトル控えめのリアルな釣り
 ▽主な対象魚と釣り場 マダイ、マアジ、シイラ、アユなど関東中心に海も淡水も。実在の釣り宿も登場
 ▽主人公と登場人物 印刷会社で働く3年目の釣谷と釣り初心者の祭ら。社内で「釣り部」結成
 ▽その他 料理法と食も描く。実在の酒も登場。釣谷・祭の関係も注目

 《「お嬢さま」キャラ案も》連載に当たり“女子”のキャラも物語の方向性も複数の案があった。女子は「ギャル」か「お嬢さま」で真っ二つに割れ、若干お嬢さまが上回ったという。プロットも「お嬢さまがメイドと一緒に釣りをしたり、スーパーに入社した女子が、二足歩行のネコの先輩と一緒に釣りをするというのもありました」と明かした。

 ◇ふなつ かずき 1973年(昭48)生まれ、大阪府出身。高校卒業後、印刷会社を経て「漆黒のレムネア」でデビュー。2001年、ヤングジャンプ「華麗なる食卓」で連載デビュー。空手を描いた「瞬きより迅く!!」や「妖怪少女―モンスガ―」など幅広いジャンルを描く。

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