藤井王将を止めた羽生九段の桂取り 反攻探る△8六歩に応戦した▲6五歩が決め手に

[ 2023年2月11日 05:17 ]

第72期ALSOK杯王将戦7番勝負第4局第2日 ( 2023年2月10日    東京都立川市「SORANO HOTEL」 )

A図
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 【関口武史・第2日のポイント】藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠=の大長考の封じ手は△5二同王だった。大方の予想と外れた指し手だが、羽生善治九段(52)は予想の範囲内で、確認するように一呼吸おいて▲6四角成と指し2日目が始まった。

 上部を抑えつつ銀取りの一手に△5四銀と受けたが、▲2四飛の飛車走りが厳しい追撃。△2三歩には▲3四飛△3三歩▲4四飛と横滑りで後手陣が崩壊してしまう。そこで△2三角の強防に藤井は本局の命運を託したが、その後の変化に誤算があったようだ。

 控室で羽生の攻めが厳しく藤井危うしと評される中、「静かに静かに」△6二銀と歩頭に上がった受けに藤井の勝負への執着を感じた。予想外の一手にしばらく身じろぎもせず盤面を見つめていた羽生の姿が印象的だ。

 藤井が虎視眈々(たんたん)と逆転の手順を探り△8六歩と王頭にあやを求めた局面。ここで強く▲6五歩(A図)と桂馬を取り切ったのが決め手となった。入手した桂で▲7三桂と楔(くさび)を打ち、▲2二飛成と質駒の角を最高のタイミングで奪い、羽生が鮮やかに決め、2勝目を勝ち取った。(本紙観戦記者)

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