「舞いあがれ!」史子役の八木莉可子 NHK制作統括「資質が近いところがある」

[ 2023年2月9日 08:30 ]

連続テレビ小説「舞いあがれ!」で秋月史子を演じる八木莉可子(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】モデルで俳優の八木莉可子(21)がNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」で、短歌を愛する女性・秋月史子を演じている。

 史子は8日放送の第89回に初登場。古書店「デラシネ」を訪れ、店主の貴司(赤楚衛二)に「私、梅津さんの短歌が大好きです」と伝えた上で、自分が作った短歌を読んでくれるよう頼んだ。

 制作統括の熊野律時チーフプロデューサーは史子役に八木を起用した理由について「史子のキャラクターを考える時、脚本の桑原亮子さんが『八木さんをイメージしている』とおっしゃった。八木さんは桑原さんが脚本を書いたオーディオドラマ『君を探す夏』(2020年)の主人公を演じていて、独特の透明感がある人だと思っていた。八木さんご自身も読書が好きで、詩や短歌にも興味を持っているようなので、そもそもの資質が史子に近いところがある」と説明する。

 八木は2016年に「ポカリスエット」のCMなどで注目され、最近は役者としてNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」などに出演して活躍している。

 9日放送の第90回で、史子はデラシネの居間で貴司と向かい合い、自身の短歌について「どうか忌憚なきご意見をお願いします」と申し出た。

 熊野氏は「史子の背景はこれから徐々に描かれるが、いろんな事情で生きづらさを抱えていて、短歌で自分の気持ちを表現することがある種の救いになっている。そこは以前の貴司と重なる部分がある。演じる八木さんは背が高く手足が長いので、デラシネのちゃぶ台の前に座ると、なんとなく窮屈そうな感じが出て、体の動きも含め、自分が生きていく中でうまく収まっていない感じをうまく表現している。まさに史子はこんな人で、八木さんにお願いして良かったと思っている」と話す。

 史子は貴司に「すごくええと思います」と短歌をほめられ歓喜。帰り際に舞(福原遥)に「奥さまですか?」と単刀直入に尋ねて「違います」という答えを得ると「良かった」と笑顔を見せる。

 熊野氏は「史子は自分の思いをまっすぐに投げる。貴司に初めて自分の短歌を認めてもらい、強い思い入れを持った。舞との関係が気になって質問するが、そこに悪気はなく、特別な関係でないことを知ると、ほっとする。そういう素直さ、切実さ、不器用さのあるキャラクターになっている」と語る。

 舞と貴司はこれまで互いに大切に思いながら、そこから先に踏み出すことはなかった。しかし、そこに「自分の思いをまっすぐに投げる」存在が現れたことで、関係性への影響が予想される。

 史子は物語のキーパーソンだ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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2023年2月9日のニュース