羽生九段 ウサギのネクタイで気合 先手番生かす 「よく知ってる」“ホーム”立川対局でタイに戻すか

[ 2023年2月9日 05:00 ]

立川こまちを手に、記念撮影に臨む藤井王将(左)と羽生九段(撮影・河野 光希) 
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 藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠=に羽生善治九段(52)が挑む将棋の第72期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)第4局第1日は9日午前9時に東京都立川市の「SORANO HOTEL」で始まる。8日は同所で対局場検分が行われた。藤井の2勝1敗で迎え、先手は羽生。

 先手番で第4局を迎える羽生の眼光は優しくもあり、鋭くもあった。「主導権の取りやすさというか、そういうものをうまく生かして、いい内容の将棋を指せたらいいなと思っています」。何のてらいもなく言い切った。

 羽生にとって初の立川対局になるが「4歳から(隣接する)八王子に住んでいたので地理的によく知っています」と違和感はないという。対局室から望める昭和記念公園は「日帰りの行楽というか、よく遊びに行く場所でした」と懐かしそうだ。検分ではカーテンが自動昇降する仕組みを見ると「おおお」と実直なリアクション。対局前日の堅苦しさは例によってほとんどない。

 シリーズ成績は1勝2敗。勝てばタイになる一方、敗れると「カド番」に追い込まれる。タイトル獲得100期に向けて分岐点となる大一番を前に、参考となるのが1日に行われた順位戦A級の藤井―永瀬拓矢王座(30)戦。後手の藤井が敗れた一局を、もちろん羽生もチェックしていた。

 「永瀬さんの研究の深さ、作戦の周到さを感じた。藤井さんの出来が悪かったわけでは決してないのですが、終始永瀬さんペースで指し切りましたね」と話す根底には今局に臨む自らの立場を重ねていたに違いない。

 自宅で飼育中とあり、ウサギ柄のネクタイを締めていた羽生は、和装となる対局時のいでたちもウサギ関連かと尋ねられ「楽しみにしていてください」と含み笑い。若き王者との死闘を、どこかで楽しんでいるふうでもあった。 (我満 晴朗)

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