飛翔体のレーダー消失は北朝鮮の“失敗ミサイル”か 専門家が分析「結果としてJアラートが誤報のように」

[ 2022年11月3日 17:39 ]

東京・赤坂のTBS社屋
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 外交や安全保障に詳しい明海大学の小谷哲夫教授が3日、TBS系「Nスタ」(月~金曜後3・49)に生出演し、北朝鮮からのミサイル発射を受け全国瞬時警報システム(Jアラート)が発令されたことについて解説した。

 北朝鮮西岸付近からこの日朝、大陸間弾道ミサイル(ICBM)とみられるミサイルを含む3発が発射された。日本上空を通過する可能性がある飛翔体が探知されたため、午前7時50分に宮城、山形、新潟にJアラートが発出された。しかしその後、防衛省は上空を通過していないと判明したと情報を訂正した。

 レーダーから消えた理由について、小谷氏は「今回はおそらく、1連目のロケットを切り離した後、2段目のロケットが十分な推力を得ることができなくて、当初予想した軌道を取らず、それより手前に落ちてしまったということなんだろうと思います」と分析。「2段目のロケットが正常に稼働していれば、そのまま上空を飛び越えた可能性があったと思います」と推測した。

 Jアラート発出の運用については、「基本的には、飛んで来た飛翔体がどのような軌道で飛ぶかということを一番正確な段階で把握して、もし日本に危険を及ぼすものであれば発令する」と解説。「今回は恐らく、正確に軌道を読み取っていたんですけど、むしろ北朝鮮のミサイルの方に不具合があって、当初の軌道通りにいかなかったので、結果としてJアラートが誤報のように見えてしまったということだと思います」とした。

 Jアラートは発出のタイミングが早ければ早いほど攻撃への備えや避難ができるものの、それによって混乱が広がる可能性もあるという。「もちろんJアラートを早く出すことはできます。そうする場合は、最終的にどこに落ちるかという誤差の範囲が広がってしまうので、広い範囲にJアラート出さないといけない。それだと各地に混乱を引き起こしてしまう」とし、「一番確実な軌道を把握できた時に出す。それによってJアラートを出す範囲を狭めることで国内の混乱を収める。ギリギリのバランスをどう取るか」とも話した。

 北朝鮮のミサイル発射を受け、米韓で行われている合同軍事演習が延期されることが発表された。小谷氏は「当面米韓も合同軍事演習を続ける。それに対して、北朝鮮も対抗措置を取る可能性が非常に高いと思います」とし、北朝鮮による挑発行動は今後も続くとの見通しを示した。

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2022年11月3日のニュース