球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

大リーグ ロックアウトで禁止薬物使用増える? 99日間検査なしの“大穴”

[ 2022年4月3日 02:30 ]

 大リーグは7日(日本時間8日)の開幕へ猛ダッシュだ。球界挙げて前のめりの中で、頭を抱えるのが大リーグ機構(MLB)の薬物検査担当部門。03年から始まった薬物検査は日夜、シーズン、オフシーズンを問わず抜き打ちで続けられ、プロスポーツ界最高の薬物対抗組織とされた。その薬物防止の壁にロックアウト(業務停止)で99日間検査なしの大穴が開いた。「選手たちにファウルプレー(薬物使用=ドーピング)するのに十分な時間を提供」とニューヨーク・タイムズ紙。

 ヤンキース救援投手で選手会役員を務めたザック・ブリトンは「規則を尊重してほしい。軽く考えている選手が少なくない」と指摘する。同様の危惧は他球団役員からも出された。162試合シーズンの19年、MLBは1万1619回の検査(尿検査9332、血液検査2287)を実施し、オフも2058回。20年以降は新型コロナウイルス感染拡大の混乱で回数は減ってしまうが、21年シーズン中に8436回、オフに551回実施した。それがオーナー側のロックアウト通告で途切れてしまった。争議最中のコミッショナー記者会見で「薬物検査」が出るとロブ・マンフレッド氏は「選手に接触できない」と人ごとの回答。まだ労使の言い分が離れていた2月初めに「労使問題と別に薬物検査も難問」と言ったそうだ。

 ステロイド本塁打が飛び交った2000年代初頭、栄養補助食品会社を装ってプロ、アマ有名選手に禁止薬物を供給した「バルコ」の元経営者ビクター・コンテ(72=刑期は終わったが敬称は略)は「また、かなりの数の50ホーマー選手が見られるよ」と予想する。「大リーグの薬物規制は甘すぎる。出場停止を繰り返し新契約で大金を手にする選手が、だいぶいるじゃないか」。反論できないMLB、悔しくないか?(野次馬)

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