球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

エンゼルスの戦い方にうかがえるオーナーの緩さ

[ 2022年6月26日 05:30 ]

 エンゼルスのオーナー、アート・モレノ氏(75)はツキを持つオーナーだ。02年にディズニー社から球団を買収したその年に球団初のワールドシリーズ(WS)制覇を遂げた。“正確”にはシーズン末に決まった買収で、オーナー会議の承認は03年4月だが、それは大リーグ機構(MLB)の手続き上での話。「メキシコ系米国人の大リーグ史上初のマイノリティー(少数派)オーナーが即チャンピオンに」と話題になった。

 アリゾナ州、カリフォルニア州など西部一帯に広告業を中心に各種事業を展開する大富豪で、熱心な野球ファン。夢はMLB球団所有で参入機会があるごとに名乗りを上げるが「ノー」。少数派のため、と想像する。エ軍を所有してからは“財布が大きい”経営だ。選手年俸ランクはほぼ10位以内にとどまる、成績に見合わない高給を維持する。

 エ軍は10年越しの球場問題を抱える。現在のエンゼルスタジアムはアナハイム市の所有。エ軍は市に改修計画など注文を出すのだが、市政庁の方針が定まらない。地元紙オレンジカウンティー・レジスターによるとモレノ・オーナーは「土地もろとも球場を買収」と市側と交渉を始めたが、不正交渉疑惑でFBI(米連邦捜査局)が動き市長は辞任。市側の一方的な交渉キャンセルにも、「この件で市と争わない」と同オーナーは太っ腹だ。

 同紙はこれまでエ軍と市が発表した球場周囲を公園、ホテル、ショッピング街が囲む再開発計画図の中で「ホンダが加わる計画がベスト」とのんきな話。緩さは主砲トラウト、大谷頼りの戦いにもうかがえそうだ。金に血眼の大リーグでこのおうようさ。貴重というべきか…。 (野次馬)

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