球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

球界に女性進出も…人種強調、先陣争い

[ 2021年1月10日 05:30 ]

 女性が性差別を突破して男性独占の地位に進出する。「彼女はガラスの天井を破った」と米メディア。球界は男性優位を守るガラスの天井がある世界だが、昨年11月、マーリンズでの大リーグ史上初の女性GM誕生は本紙も報じたのでご承知だろう。

 キム・アング氏(52)、シカゴ大学を卒業してホワイトソックスのインターンで球界入り、ドジャース、ヤンキースなど数球団、さらに大リーグ機構でも経験を積み、ここ数年は空きができた球団のGM候補の常連だった。「球界31年でのGMは遅すぎた」と多くのメディア。気になったのは、ことさら「アジア系初」との人種の強調。中国系米国人、それだけでいいではないか。

 年が明けるとレッドソックスがマイナーリーグのコーチとしてビアンカ・スミス氏と契約。「プロ球界で初の黒人女性コーチ」で、将来はGMを目指すため法律とビジネスの学位を持つという。レ軍が「最初の黒人女性コーチ」と強調したのは、「黒人大リーガー誕生が最も遅かった球団のため」との皮肉な報道もあったが、ジャイアンツではマイナーの健康管理の女性コーチを昇格させ、「大リーグ女性コーチ第1号」と誇る。さまざまな部門の先陣争いだ。

 70年代、女性野球記者が登場し始めた頃、ロッカー入り口で数人の女性記者と男性記者がもめていた。女性記者のロッカー立ち入り禁止は差別というのだ。「俺たちだってクリス・エバートのクラブハウスには入れない」と言ったのに噴き出して拍手した。エバートは当時の女子テニス界の女王。女性記者たちに凄い目でにらまれ、ロッカーに逃げ込んだが、難しい差別問題で忘れられない思い出だ。 (野次馬)

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