球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

MLB ワクチン接種がワイルドカード争いのカギに

[ 2021年9月5日 05:30 ]

 9月、ベンチ入り選手が2人増え28人になった。10月5日(日本時間6日)に始まるプレーオフに備えた選手枠拡大だが、余裕で戦える各地区の大差の首位チームはレイズ(ア・リーグ東地区)、ホワイトソックス(ア中地区)、ブルワーズ(ナ中地区)ぐらい。首位から5ゲーム差以内にひしめく10~11球団がワイルドカードを目指す猛ダッシュになる。生き残りの鍵は収まらない新型コロナウイルス感染防止だ。

 これまで、どのチームも多少の陽性選手を出してはいたが、被害が大きいのがレッドソックスだ。7月末にア・リーグ東地区の首位から落ち、レイズが首位独走を固めた。レッドソックスはライバルのヤンキースとワイルドカード争いに。ところが3日時点で9人の選手が陽性、戦列を離れた。「ワクチン接種は強制できない。つらい」とハイム・ブルーム編成本部長。レッドソックスは大リーグ機構が定める遠征集団の85%以上のワクチン接種で移動制限枠を緩める条件に達していない7球団の一つ。ワクチンへの不信(今回の9人の陽性者は全員ワクチン接種済み)、宗教上の理由などで全人口の30%以上の「絶対拒否者」がいるらしい。大リーグはコロナで分裂する国の縮図だ。

 アストロズ、ナショナルズ、カブスはワクチン接種を球団社員の雇用条件にした。「選手がだめならせめて社員は」というのだ。ナ軍のボブ・ブーン副社長(73)は「ワクチン義務には従えないので辞任」した。スカウト2人も辞めた。ブーン氏は70年から90年までエンゼルスなど3球団でプレーしたスター捕手、ヤ軍アーロン・ブーン監督の父だ。息子は声明を出した。「私は3月にワクチン接種を済ませた」

 ノートのメモをまとめたが、新型コロナウイルスは依然、陰の悪役だ。(野次馬)

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