球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

弁解ないマンフレッド“CEO”のお人柄

[ 2022年7月10日 02:30 ]

 先月末、スポーツ専門局ESPNのウェブサイトに大長編記事が掲載された。「ロブ・マンフレッド(コミッショナー)は、皆さん(野球ファン)に知ってほしいことがある。私は野球を憎んではいない。野球を救いたいと望んでいる」との見出し。何事か?と思った。

 今季の9回の平均試合時間は、7月7日現在で3時間4分。コロナ前の19年シーズンは3時間5分で1分早めている。1試合の平均観客動員2万5807人は19年の2万8203人には及ばないが、コロナ禍中のハンデを考えれば大健闘だ。

 マンフレッド氏は静かに大リーグ機構(MLB)の最高経営責任者(CEO)として日常業務に携わっていられるはず。記事画面をスクロールすると果てしないので中止、ニュース的なことがあれば他のネットメディアが報じるだろう。印刷モードで見ると何とA4用紙22枚分だ。中身はロックアウトから開幕までの会見詳細のまとめといっていい。弁解めいた弱音がないのが“お人柄”だ。

 「ファンに誤解されていると思うか?」とのESPN記者の問いに「どう返事したらいいのか…。ファンに前向きな印象を与えられればいいのだが。正直なところ、物事を決定する時に人がどう思うかは考えないようにしている。それにとらわれると正しい決定ができない」。「どんなコミッショナーとしてファンに記憶されると思うか?」。苦笑交じりで「私の墓標には“クビになるまで球界をいじりまわし混乱させた男”と彫られると思う」――。

 コミッショナー神話が消え、孤独なCEOのささやかなユーモアがほろ苦い。(野次馬)

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