球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

殿堂入り目前 名物審判員 あわやインチキ話の被害に

[ 2021年4月18日 05:30 ]

 ロボット審判の実用実験が始まり、絶滅危惧種となった審判員が、13日に「名誉毀損(きそん)訴訟」で元オールスター捕手に勝ち、賠償金50万ドル(約5450万円)を獲得した。

 今季終了で40年に及ぶ審判生活から引退のジョー・ウエスト審判員(68)。巨漢で愛嬌(あいきょう)のある顔立ち、愛称「カウボーイ・ジョー」はカントリーソングの作詞作曲から、とも。素早い「ゲットアウト」の一声で選手、監督を退場させるから、とも。抗議監督と体当たり、乱闘仲裁も肉弾戦でMLB(大リーグ機構)から注意、出場停止、罰金多数の名物審判員だ。

 ウエスト審判員が訴訟を起こしたのは、職業上のやりすぎとは別。元捕手ポール・ロデューカ氏(49)が「メッツ時代の同僚の抑え投手ビリー・ワグナーはクラシックカー好きの同審判員に所有の57年型シボレー車を運転させ、見返りにストライクゾーンを広くして判定してもらった」とネットメディアで話したのに「職業上の名誉に関わる」と激怒した。

 ウエスト氏は今季を5345試合で迎え、判定をジェスチャーで示す開祖で“審判員の父”のビル・クレムの5370試合の大リーグ記録を追う。「審判員の殿堂入りは記者投票ではない。厳選の少数の委員による選出。インチキ話に委員が影響されたら最悪」。ニューヨーク州最高裁は「殿堂入りが仕事への誠実さで測られると信じる原告に虚偽の話で多大な精神的苦痛を与えた行為に25万ドル(約2700万円)、虚偽の話を完全に打ち消すための活動経費にさらに25万ドル」と判決。

 記録を調べるとバッテリーのメッツ時代は06年と07年、球審が加わり3人重なるのは1試合、それはロデューカ証言のカードではない。「大リーグはトール・テール(ほら話)の宝庫だが、こんな話は…」。メディアも首をかしげるばかりだ。(野次馬)

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